10代のスマホ依存症をどうする--専門家が指摘する脳への影響 - (page 2)

Terry Collins (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年04月18日 07時30分

対策

 統合失調症に関する映画を2本製作したRuston博士が、次の映画のテーマを見つけるために家の外に出る必要はなかった。娘のTessaさん(当時12歳)はソーシャルメディアに夢中で、息子のChase君(当時14歳)はビデオゲームで遊んでばかりいた。

 「私は、母親としてどのようなルールを設ければいいのか、全く分からないと感じていた」(Ruston博士)

 多くの保護者がRuston博士と同じ悩みを抱えている。10代のデジタル習慣を抑制しようとすると、まるで地雷原を歩いているかのように感じられることがある。爆発することは分かっているが、それがいつ起きるかは分からない状態だ。しかし実を言うと、子どもたちにとっても、それはどうしようもないことなのである。

 なぜなら、脳の前頭葉(洞察、共感、判断、衝動の制御を司る)は、20代になるまで完全には発達しないからだ。それに、10代の過剰に分泌されるドーパミンを加えれば、オンラインに接続する欲求を抑えることのできない、気まぐれで自意識過剰な、大人になりきれていない大人の完成である。保護者が怒っても効果がないのは、そのためだ。

 Common Sense Mediaは、2015年に北米の1万人の保護者を対象に実施された調査結果を引き合いに出し、子どもたちにインターネット接続を禁止しても無駄であることを言及している。この調査では、「機会さえあれば画面の電源を切るようにしている」保護者の子どもは、オンラインでネットいじめをしたり、他者になりすましたりする、またはポルノにアクセスする可能性が極めて高いことが分かった。逆に、子どもの好きなようにさせても上手くいかない。

大切なのはバランス

 カリフォルニア州ケンジントンに住むNamita Brownさんは、娘のGiseleさんのオンラインアクセスについて、宿題のためなら何時間でも認めているが、娯楽目的の場合は1日に1時間までと制限を設けている。ただし、そのルールを適用するのが難しい場合もある。Giseleさん(11歳)は「Googleハングアウト」で友達と一緒に宿題をすることもあれば、よくある話題、例えば、YouTubeのゲーマーであるLDShadowLadyについて友達とチャットすることもあるからだ。

 「この杓子定規的なルールだと、常にその有効性が問われて、少し厄介なことに感じられる」(Brownさん)

 問題なのは、このようなことに関して、確かなルールが存在しないということだ。そのため、家族がそれぞれの子どもに合ったバランスを探る必要がある。

 Caroline Knorr氏は保護者に対して、子どもが画面を見ている時間の計り方を改めることを提案している。

 Common Sense Mediaのペアレンティング担当編集者であるKnorr氏は、次のように語っている。「1日ではなく、1週間単位で見るようにしてほしい。そうすることで、保護者のストレスと重圧が軽減されるからだ。まず子どもが(学校のために)やらなければならない義務的なことから始めて、例えばビデオゲームを2時間というように、デジタルと関わる『健全な』時間を組み入れるようにする」

 専門家は、画面を一切見ない時間やゾーンを決めることも推奨している。それは、夕食の食卓でもいいし、夜の2時間でもいい。そうしたゾーンの1つに必ず寝室を含めるようにしよう。ベッド脇にスマートフォンがあれば、使わずにはいられないはずだからだ。週に1度は状況を確認するようにして、デバイスを一切使わない家族全員参加のアクティビティを提案しよう。

 多くの専門家は、それぞれの子どもと、オンラインでの適切な行動(いじめや個人情報の開示は厳禁)や、デバイスを使ってよい時間を定めた取り決めを作ることも推奨している。

 Fleetwoodさんは、2人の娘との取り決めによって、家庭に一定の安らぎが訪れることを願っている。

 「私が求めているのは、スマートフォンの着信音に絶えず邪魔されることなく、家族として過ごす時間を作ること。簡単なことではないけれど、とにかくやってみようと思う」(Fleetwoodさん)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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