スマートフォンネイティブが見ている世界

大人も子どももスマホ中毒--子どものネットトラブルに困ったときの処方箋

 スマホネイティブ世代は、スマホやネット利用においてさまざまな問題を抱えている。どうすればいいのか分からず、子どもやニュースに翻弄されている保護者や教員も多いだろう。今回は、そうした現状とともに対策をご紹介する。

大人も子どもも陥るスマホ中毒

 小中学生および高校生の保護者を対象にした東京都青少年・治安対策本部の、「平成26年度 家庭における青少年の携帯電話・スマートフォンの利用等に関する調査報告書(概要版)」(平成27年3月)によると、「スマートフォンを持たせるにあたり不安なことは」という問に対して、63.3%が「スマートフォンに依存してしまう」ことと答えている。スマホはゲームやLINEなども使え、はまってしまう子どもが多いため、心配している保護者が多いというわけだ。

 はまってしまうのは子どもだけではない。学校などで子どもと話すと、「うちのママは話しかけてもスマホをいじっていて話を聞いてくれない。スマホはやめてほしい」「僕には『スマホを使うな』というのに、自分はずっとスマホでゲームをしているのでおかしいと思う」という話をよく耳にする。中には、子どもには「食事中はやめなさい」と言いながら自分はスマホをいじり、子どもが指摘すると「大人はいいの!」と怒る母親もいるようだ。

 1~6歳児の保護者を対象にしたe-Lunchの「親と子どものスマートフォン・タブレット利用調査結果」(2014年12月)によると、1歳児でも18.2%の子どもがスマホやタブレットを週に2~3回利用しており、2歳以上は年齢が上がるに連れて毎日利用する割合も増加。約2割は毎日利用している状態だ。

 子どものスマホ、タブレットの利用は、保護者の利用と密接な関係がある。親のスマホやタブレットの利用時間が長くなればなるほど、スマホやタブレットを利用する子どもも増えている。親が1日15分利用する場合は子どもが1時間利用する割合は2%だが、親が1日2時間利用する場合は16.4%にまで増えている。つまり、保護者と子どもの利用時間の長さは相関関係にあるのだ。

 最近の保護者、特に若い世代は、自分でもスマホを楽しんで使っている割合が高い。自分自身がスマホゲームなどにはまっていたり、LINE中毒に陥っていたりする保護者も多い状態だ。自分がはまっていては子どもにやめさせたり、コントロールさせることは難しいだろう。子どもは保護者の使い方をよく見ている。子どものお手本となるような使い方をすべきだろう。

 スマホはそもそも、自由に利用していてははまりやすいものだ。「スマホは1日◯時間以内」「夜は△時まで」「利用するのは×と□のみ」など利用のルールを決め、子どもがはまりすぎないようコントロールできる仕組みを作ろう。スマホ以外のやることを示し、子どもが自らコントロールする力を身に付けられるように指導すべきだろう。

子どものスマホ利用における家庭の課題

 子どものスマホ利用の問題には、さまざまな課題が横たわっている。たとえば、子どもに安全にスマホを利用させるためには、保護者が選択、決定しなければならないことがたくさんある。しかし、保護者の多くはスマホを使いこなせておらず、スマホの危険性や安全のための設定についても理解できていない。分からない保護者が教えたり設定しなければならないことが、大きな課題となっているのだ。

 また、スマホの利用は子どもにとってもプライバシーにあたる。スマホを利用するような年頃になると、親にも見せたくない気持ちが出てくるのは当然のことだ。子どもがプライバシーを意識する年頃のため、保護者から問題が見えづらくなっているという課題もあるのだ。

 子どもは可処分時間が多く、使いたい情熱もあり、オンラインとオフラインで友達から情報を収集しているため、大抵の場合スマホやネットについて保護者よりも詳しい。その上、好奇心旺盛で無鉄砲な行動をとることも多い。しかし、同時に常識もなく人生経験もないため、ネット経由で詐欺や出合い系被害などにも簡単に引っかかってしまうのだ。

 「スマホやネットのことは分からないので子どもに教えられない」という保護者は多い。しかし、子どもに端末を買い与えたり、安全のためのフィルタリングやペアレンタルコントロールなどの設定をしてやれるのは保護者だけだ。まずは、購入前に子どもに与える端末でできることを把握しておくこと。キャリアに聞くなどして、子どもの年齢や発達段階に合わせた安全設定を施すべきだろう。

 もう1つは、子どもとネット利用について話し合う習慣を持つこと。子どもは社会事件に興味がないため、スマホやネット絡みのニュースは保護者が話題にして、どんな危険があるかを普段から教えておくといいだろう。直接端末を見なくても、子どもが自分から利用状況について話してくれるようにしておけば問題は起きづらくなる。

 保護者は、スマホやサービスについては分からなくても、ネットで出会った人を警戒する常識などを持ち合わせている。子どものネットトラブルを常識で判断したり、相談機関に相談できるのも保護者だけだ。ネット利用について日頃から話題にし、困ったことがあったら相談してもらう関係でいることが大切なのだ。

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