Bixby VoiceはSiriやGoogleの音声命令アシスタントによく似ている。だが、プロスポーツの試合結果をチェックしたり、南極大陸まで自転車でどのくらいかかるかを調べたりするのではなく、Bixby Voiceでできるのは端末の設定を管理することだけだ。画面の明るさ調整やWi-Fi接続のオン/オフ、自撮りのためにカメラを起動することなどだ。
サムスンによると、画面タッチでできることであれば、何でも音声でできるという──だが、ネット検索の方法は分からなかった(そもそもできないのかもしれない)。一貫性がないところもある。Bixbyの起動方法は2つあり、決められた言葉を使うか、トランシーバーのように専用の物理ボタンを押したまま音声で命令するかだ。
2つ目のツール、Bixby Homeは「Google Now」に似ている。天気予報やニュースの見出し、自分の歩数、興味がありそうなYouTube動画などの「カード」(画像やテキストのかたまり)を表示する。Bixby HomeはFacebookやTwitterなどのサードパーティーアプリとリンクする見込みだ。カスタマイズでき、使うほどにユーザーに最適化されていく。例えば同じ人に同じ時間に何度も電話すると、同じくらいの時間にその行為を促すカードが表示されるようになる。Bixby Homeは、ホーム画面を左にスワイプすると表示できる。
3つ目のBixby Visionは、カメラを使って物体や文字を認識する。お菓子の包み、名刺、シャンプーのボトルにカメラを合わせると、Amazonの「Flow」機能のようにBixby Visionが起動する。QRコードを読み取ったり、「Google翻訳」を使って翻訳もする。ワイン検索のVivinoとの提携により、ワインのラベルをスキャンするとそのワインの概要を表示する。何だか聞いたことがあるって? Bixby Visionは「Google Goggles」にとてもよく似ているし、他にも同じようなアプリはある(Lumiaシリーズに搭載されていた「Bing Vision」を覚えているだろうか?)。
すべてのツールのハンズオンデモでの問題は、このベータ版アプリはタスクの一部しか実行できず、対象を正しく認識できないこともあったことだ。例えば、テキストの読み込み(OCR)がうまくいかなかった。名刺の半分を読み込んだり、わずかな言葉を翻訳したり、ゴールデンゲートブリッジのような名所の特定(デモではカラー写真が使われた)ができなかった。
また、BixbyとGoogleが端末上でユーザーの注意を引こうと競い合っており、何かをしたいときに、何をどうやって呼び出すべきかを忘れてしまいそうだ。側面のボタンを押してBixbyを呼び出せばいいのか、ホームボタンでGoogle Assistantを起動するのか、カメラでBixby Visionを起動するのか、画面スワイプでBixby Homeを開くのか。
もちろん、4月21日のS8およびS8+の発売までにはBixbyの“成長痛”は治まっている可能性がある。その時には、今から3週間でどのくらい改善されるかだけでなく、完成した端末上でできるはずのことが、どこまでうまく動くかを徹底的にテストするつもりだ。
だが、サムスンは今、証明を迫られている。失敗すれば、Bixbyはいい笑いものだ。成功すれば、サムスンはGoogleのAndroid支配から少し離れられる。さらに、サムスンはBixbyをスマートフォン、タブレット、ノートPCを含む広範囲なエコシステムのプラットフォームとして活用できる。サムスン製の冷蔵庫、洗濯機、テレビ、もしかしたら「Amazon Echo」や「Google Home」のようなスマートスピーカーに搭載されたBixbyが、スマートホームを形成するかもしれない。
いずれにしても、サムスンは未知数のものを信じてほしいと願っている。「Galaxy Note7」の大失態や企業トップのスキャンダル、独自アプリ構築の失敗の歴史などを乗り越えようとしている企業として、今は購入者に信じてくれと言える時期ではなさそうだ。
今は自信を持ち、完全であるべき時だ。4月21日以降に、Bixbyが完成された自信作かどうかが明らかになってくるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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