Microsoftは、Linux上で「OneDrive」および「OneDrive for Business」の動作速度が、「iOS」や「Chrome OS」「macOS」「Windows」など他のプラットフォームに比べて遅いという問題を解決した。
MicrosoftのOneDriveチームのEdgarという人物は、この問題が解決したことを認めたうえで、プリフェッチと呼ばれるバックグラウンド処理によってブラウザの実行速度を向上させるためのコンポーネントに問題があったとしている。
同氏は「『Office』オンラインアプリ用として、バックグラウンドでリソースをプリフェッチする『StaticLoad.aspx』というページでは、iOSやChrome OS、macOS、Windowsといった特定プラットフォームに対してのみリンクのプリフェッチというブラウザメカニズムを使用し、Linuxに対してはより効率の悪い(従来の)テクニックを使用していた。このため、速度低下が発生していた。他意はないので安心してもらいたい。これは不注意によって引き起こされた問題だ」とHacker Newsで述べている。
Microsoftは、プリフェッチを無効にし、StaticLoad.aspxに対するLinux向けのアップデートを施した後、再度有効にすることでこの問題を解決した。
Redmond Magazineによると、Linuxユーザーらは遅くとも11月からこの問題に悩まされており、ある「Ubuntu」ユーザーがMicrosoftのフォーラムページにOneDriveの遅さについて不満を記していたという。また、Microsoftがブラウザ情報からLinuxユーザーだと特定したうえで、意図的に不利益をもたらしていることを疑う声があったとも報じられている。
この問題は見過ごしによって生み出されたものであり、意図的に課されたペナルティではないというMicrosoftの開発チームメンバーの発言を受け、Linuxユーザーらは喜びを表明している。
当初、このような疑いがささやかれていたのには、他の理由もあった。同社は、クロスプラットフォームソフトウェアに注力し、クラウドビジネスを強化していくという最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏の方針の下で、Linuxとの過去の戦いに背を向け、オープンソースソフトウェアに対する支持を表明する前までは、Linuxを敵視していたためだ。
Edgar氏は、Linux上でのみ発生していたこの問題について「意図的ではない」点を強調している。
同氏は、すべてのブラウザがプリフェッチ機能をサポートしているわけではないため、ブラウザの検出が必要になると説明している。同社が用いているテクニックはmacOS上の「Safari」では動作するものの、Linux上の「Chrome」ではハングアップを引き起こすのだという。
「2つ目の(プリフェッチ)テクニックはmacOS上のSafariではハングアップしないが、Linux上のChromeではハングアップする。われわれはLinux上でのテストを充実させていくつもりだ。OneDriveの目標は、できる限り多くの人々に生産性の向上をもたらすサービスを構築することだ。このため、われわれが自社OSを有利なものにしようとしているように感じられるケースがあったとしても、それはわれわれの真の意図ではない」(Edgar氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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