自然言語解析に用いる「LUIS」については、従来の自然言語解析技術に比べて圧倒的に簡単に使えることがメリットだと熊谷氏は話し、具体的な使い方を示した。
例えば「東京でカレーを食べたい」という文章を正しく解析し、その人がどこで、何を、どうしたいのかを判別できるようにするには、LUIS上では「赤坂で中華を食べたい」や「銀座でコーヒーを飲みたい」のような似た形のテキストを学習データとして与える。
その上で、「赤坂」と「銀座」が場所を意味していること、「中華」や「コーヒー」が食べ物・飲み物であることを手動で指定。さらに、この形の文章が何を意図しているのかを、「レストランの情報を得る」ことを表すコマンドとして指定しておく。
こうすることで、「東京でカレーを食べたい」とユーザーがしゃべったり、テキストとして入力したりすると、「東京」という場所で「カレー」が食べられる「レストランの情報がほしい」という意図を読み取り、それに合った処理を行うことができるという。
LUISで解析した結果は、チャットのようなメッセージのやり取りを簡単に作成できるMicrosoft Bot Frameworkと連携しやすいのも利点だと同氏は述べた。例として、個人の学習データとAIを組み合わせた「学習塾bot」や「家庭教師bot」などが考えられるとし、チャットを通じて自然な表現でボットと対話しながら、ユーザーが苦手としている問題や学習スケジュールを教えてくれるような仕組みなど、「既存のコンテンツを活用して新たな体験の提供が可能になる」サービスの可能性も示した。
同氏は、AIはなんでもできる万能なものではなく、「使える領域と使えない領域をきちんと分けて理解することが重要。そのためには、積極的にトライ&エラーを行っていくしかない」と釘を刺す。しかしながら、これまで有効な施策の手がかりがなかった非会員に対しても、「何かしらの情報を取得して、これまでと違うアプローチが可能になる」というマーケティングにおけるメリットと、「新たな顧客体験を提供することで、既存コンテンツを有効に使える」という実サービスにおけるメリットがあると改めて強調する。
「おそらくこれから多くのマーケティング担当の方は、AIについて学ばなければならないでしょう」と同氏は述べ、AIへの積極的な取り組みの必要性を訴えた。
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