ひとつめは“未来の商品棚”といえるソリューションだ。具体的には、店頭に設置されたPepperが「Surface Hub」や「Surface」をデジタルサイネージとして使いながら来店した顧客に商品を紹介するなど接客する。
Pepperは顧客の顔を認識した上で性別や年齢層に応じて最適な商品をSurfaceの画面を使ってレコメンドし、顧客の反応や購買行動などのデータをAzure上に蓄積することで機械学習を継続的に行いレコメンドの精度を向上させていく。接客によって蓄積されたデータは店舗スタッフに統計データとして提供され、店舗の改善に役立てることもできるという。すでに大手カーディーラーに導入されて新車紹介に活用されているとのこと。
こうしたシステムの裏側では、Azureで提供される「Azure Cognitive Services」と呼ばれるAPI群が活用される。
このAPI群は顔写真などの画像を認識、分析するVision API群、音声を認識するSpeech API群、言語を分析して操作コマンドとして活用するLanguage API群、検索エンジンBingを活用するSearch API群、レコメンドなどを実現するKnowledge API群から構成されている。これらのAPIから最適なものをPepperのクラウドロボティクスAPIと連携させることで、さまざまな能力を実現しているのだという。
「こうしたAPIをPepperのAzure内に組み込むことによって、さまざまな機能をPepperに持たせることができる」(高野氏)
例えば、Vision API群のひとつで顔を認識して人物を特定できるFace APIを活用すれば、一度接客した顧客の顔データを顧客データベースに蓄積して他の属性情報や購買履歴と連携させ、再来店時に同じ顧客の顔を認識して過去の情報に基づいた高精度なレコメンドや接客内容の変化を生み出すことが可能となる。
「Microsoftの画像認識精度は人間の誤差率(5%)をも下回ると言われている。しかし、Pepperが正確に顔認識をするためには対象者がカメラの正面にいる必要があり、また被写体ブレのない画像を撮影する必要がある。実用化にはまだいくつか運用面でハードルがある」(高野氏)
音声認識と翻訳APIを組み合わせることで外国人への接客にさまざまな言語で対応するという仕組みもソフトバンクショップなどでフィールドテストを進めていくという。Azureを活用することによってクラウド上にPepperの巨大な頭脳が生まれ、APIの機能を組み合わせることによってPepperにさまざまな能力を与えることができるようになるのだ。
もうひとつ、Pepperの頭脳として期待されるツールがAzureで提供される「LUIS(Language Understanding Intelligent Service)」と呼ばれるものだ。これは、言葉を認識するだけでなく、その意図や文脈をも理解することができるツールで、これを活用することで同じ意図だが表現方法が多様であることが多い日本語によるコミュニケーションをより円滑にすることが可能になる。
「今のPepperでは、質問が想定されたものと完全に一致しなければ認識しない。例えば、“トイレの場所はどこですか?”という想定質問に対して、“トイレの場所を教えて”というと認識できない。LUISはこうした表現のズレ、言葉のゆらぎを補正する効果が期待できる」(高野氏)
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