多方面に展開しているアイドルマスターシリーズにおいて、キャスト陣によるライブは恒例のイベントで、オリジナルキャラクターのアイドル「ミリオンスターズ」としてのワンマンライブは4度目。日本武道館では数多くの著名アーティストがライブを行ったことでも知られているが、ミリオンライブ!においても特別な意味を持つ。
作中では、アイドルたちの活動拠点である765プロライブ劇場を発展させていくという世界観があり、また最初のテーマソング「Thank You!」には「手作りの『ぶどーかん』」というフレーズが含まれている。このこともあり、ミリオンスターズにおいて武道館は憧れの場所、目指したい場所となっていた。そして、掲げられた看板にもキャスト陣のメッセージが書かれているなど、“手作りのぶどーかん”を再現するような趣となっていた。
ゲームとCDとの連動企画として、「Sunshine Rhythm」「BlueMoon Harmony」「Starlight Melody」3つのグループに分け、ゲーム内ではグループ活動を行うとともに、舞台裏を描いたミニドラマやグループ内ユニットの楽曲を収録したCDを「LIVE THE@TER FORWARD」(LTH)シリーズとして発売。記念イベントなども行っていた。武道館ライブにおいては、各日程の出演者もグループと同じ組み合わせとなっており、武道館ライブはこれまでの展開における集大成的な意味合いも持っていた。
ミリオンスターズのキャスト陣のなかで、田中琴葉役の種田梨沙さんは療養中のために出演が見送られたが、残る36人が12人ずつに分かれて3日間かけて登場。どの公演でも冒頭では12人そろってのThank You!と各グループとしてのテーマソングを皮切りに、前半は個々のソロ曲やグループ内ユニット曲を立て続けに披露。後半には、その日の出演予告がないメンバーのサプライズ登場も含める形で、アイドルたちがテーマにそった映画に出演する劇中劇を収録した「THE@TER ACTIVITIES」(TA)シリーズのテーマソングをはじめとする、複数人によるユニットで楽曲を次々に披露。3日間とも会場は満員だったうえ、全国各地の映画館でライブビューイングも実施。およそ3時間半におよぶステージにファンは酔いしれていた。
1日目となる10日の「Sunshine Theater」には伊吹翼役のMachicoさん、佐竹美奈子役の大関英里さん、島原エレナ役の角元明日香さん、エミリー スチュアート役の郁原ゆうさん、矢吹可奈役の木戸衣吹さん、木下ひなた役の田村奈央さん、ロコ役の中村温姫さん、望月杏奈役の夏川椎菜さん、福田のり子役の浜崎奈々さん、中谷育役の原嶋あかりさん、百瀬莉緒役の山口立花子さん、横山奈緒役の渡部優衣さんが登場。この日はハイテンションなSunshine Rhythmのテーマソング「サンリズム・オーケストラ♪」に象徴されるような、3日間の幕開けにふさわしい、明るく元気な曲を中心としたステージが展開された。
今回のステージでは、曲が終わりきる前に次の曲を歌うキャストが登場。そして曲の冒頭まで残るという、曲間の暗転を基本的に作らない形で進行。一緒に振り付けを行ったり、曲によっては一緒に歌うシーンもあるなど、コラボレーションが楽しめるのが特徴となっていた。スピーディーな進行というのもあるかもしれないが、バトンをつないで盛り上げていくようにも見えた。また、すでに1年前に行われた3rdライブツアーにて、キャスト陣全員が1度はアイマスの大型ステージを経験していることもあり、ライブで歌うのは初めてという曲もありつつ、のびのびと歌声を響かせているように感じられた。
トークも個々にフィーチャーできるぐらいほど設けられており、特にこの日はにぎやかに進行。前日の3月9日に誕生日を迎えた原嶋さんをお祝いする形で、ヘソ出し衣装を着用していたMachicoさんのおへそを触らせてあげるというシーンをはじめ、比較的“ボケ”にまわるキャストも多かったことから、フリーダムなトークに笑いの絶えないステージとなっていた。
中盤では中村さんに加え、伊藤美来さん、小岩井ことりさん、麻倉ももさん、村川梨衣さんの4人がサプライズで登場し、TAシリーズのオリジナルメンバーによる「創造は始まりの風を連れて」を披露。また終盤では、山崎はるかさんと阿部里果さんがサプライズで登場し、伊藤さん、夏川さん、Machicoさんによるユニット「乙女ストーム」のオリジナルメンバーによる「Growing Storm!」を披露。6人ものサプライズ出演に会場が大きく沸いていた。このほかTAシリーズとしてのテーマソングである「DIAMOND DAYS」や、アンコールでは「Dreaming!」や、サプライズゲストとして出演したメンバーも含める形での「Thank You!」を最後に披露。“ぶどーかん”の部分はひときわ大きな声が会場中に響いていた。
この日印象的だったのは、個人的なところも多分にあるのだが、筆者がミリオンスターズのなかでも木下ひなたがお気に入りというのあって、田村さんが披露したソロ曲「りんごのマーチ」を挙げておきたい。この曲はひなたのふたつ目ソロ曲で、これまでCDのリリースイベントでは披露したことはあるものの、ライブイベントでは初披露。四季の移り変わりを描いたもので、どこか頬が緩むような感覚になるような曲だ。ステージには電飾によって描かれたりんごやスクリーンに森の様子が映し出されるなか、りんごを食べるような振り付けを交えつつ、終始にこやかな表情で歌っていたのが印象的。初めてのアイマスライブ出演となった3rdライブツアー福岡公演の光景を見ていただけに、より一層そう思えた次第だ。
このあと、渡部さんによる「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」の冒頭で共演したのも見どころのひとつだった。この曲はハイテンションな元気曲で、渡部さん演じる奈緒も「関西の星、横山奈緒」と口上で言うほどの関西弁でしゃべるアイドル。後のトークでは2人のテンポ感をあわせるのに苦労したことが語られていたが、仲良く手をつなぎつつうたっていたのは印象的。それと同時に「北国の星、木下ひなた」といっていたところは、奈緒の口上にあわせたものではあるものの、歴史ある武道館のステージに立ったのだから、ひなたが北国の星というぐらいの存在になった瞬間なのでは、と思ったところだ。
筆者の場合は少し極端な見方にも見えるかもしれないが、何らかのフックがあって興味を持ち、そしてキャストが歌うステージを通してアイドルの姿を感じられるのがミリオンライブ!のライブではないかと考えている。
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