理化学研究所(理研)、東芝、NEC、富士通の4社は3月10日、理研の革新知能統合研究センター(理研AIP)において、共同のAI研究施設を4月1日に開設すると発表した。2023年度末の5年間で、AIの基盤技術の確立と産業分野への応用などを目指す。
理研AIPは、文部科学省が推進する、AI、ビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティ統合プロジェクト事業の研究開発拠点として、革新的なAI技術を開発し、科学研究の進歩や実世界での応用を目指した組織。理研AIPのAI技術と、各社が保有するAI技術のノウハウを融合し、基盤技術開発から社会実装まで一貫した研究を通して、社会イノベーションの創出を目指すという。
次世代AI基盤技術の研究体制として、「産業界との連携センター制度」を活用。東芝、NEC、富士通と具体的な研究テーマや実施計画などを設定し、「理研AIP-東芝連携センター」「理研AIP-NEC連携センター」「理研AIP-富士通連携センター」を、それぞれ開設した。
理研AIP-東芝連携センターでは、理研AIPによるAI基盤技術の開発を深めると共に、東芝が保有する実データを用いた技術実証を実施。複雑化する製造工場、社会インフラにおける「革新的生産性を実現する自律学習AI(自己学習AI)」の確立に向けて研究開発を推進するという。
NECでは、安心な社会の実現に向けて、災害、事故、事件など頻度の低い事象を認識できる基盤技術や、事故を予兆した際の意思決定に役立つ基盤技術、複数のAI間での円滑な自動交渉を支援する基盤技術の確立を目指す。理研AIP-NEC連携センターでは、AIに関する基本原理の解明から実世界への応用にいたるまで研究開発を実施。AI研究のさらなる加速と産業への貢献を推進する。
富士通では、環境の不確実な変化でも的確に未来を予測し、人の判断を支援する「想定外を想定するAI技術」の実現を目指す。理研AIPの研究プロジェクト長と富士通の研究者が参画し、複雑化する社会、経済的課題の解決に向けて、多様な社会経済的要因を考慮した社会変化を予測できる力と、どのような変化に対しても人の意図を反映した対策を打ち立てられるAIを研究する。
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