「オペレーション&メンテナンス」の面でも、AI/IoTの活躍の場は多い。すでに山手線の一部の列車には、架線の摩耗や高さなどを常に監視する装置が搭載されており、車両底部にあるセンサでレールの固定ボルトやレール表面の傷をチェックできるようになっている。もし問題が見つかれば、即座に対処し、トラブルを未然に防ぐことが可能だ。
輸送司令室では、運行中の列車が今どこを走り、定時からどれくらい遅れているのかなどが画面上でリアルタイムに確認できるようになっている。横山氏によると、遅延があった時は「状況に応じてベテランの社員の手で運転整理している。この運転整理がうまく行えないと、お客さまの混雑状況が列車によって偏ったり、朝に埼玉で発生した事故の影響で、夕方になっても横浜でダイヤが乱れていることもある」とのこと。運転整理を支援するため、列車の混雑状況をリアルタイムに可視化するシステムを開発中であるが、今後はAIを用いて効率よく運転整理を行えないかチャレンジしているところだと説明した。
列車の走行パターンを最適化し、回生ブレーキと蓄電の技術を併用することで電力消費量を抑える「エネルギー・環境」面の取り組みも進めている。しかし、JR東日本単体でできることもあれば、できないこともあると打ち明け、同社が主導するアイデアソンやハッカソンの開催を予告するとともに、積極的な参加を呼びかけた。2020年までに品川~田町間に完成する山手線新駅を実証実験の場にすることも検討しているとし、「1歩も2歩も先のサービスを提供し、ビジネスモデルそのものも見直して、21世紀のIoT/AI時代も(移動・輸送サービスは)鉄道が主役でありたい」と語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのBioSHADOWが誘う
心地良い室内空間のつくりかた