CNET Japan Live 2017

人口減少時代を迎えた鉄道の未来--IoT×AIで実現するJR東日本の技術イノベーション - (page 3)

山手線新駅を実証実験の場に

 「オペレーション&メンテナンス」の面でも、AI/IoTの活躍の場は多い。すでに山手線の一部の列車には、架線の摩耗や高さなどを常に監視する装置が搭載されており、車両底部にあるセンサでレールの固定ボルトやレール表面の傷をチェックできるようになっている。もし問題が見つかれば、即座に対処し、トラブルを未然に防ぐことが可能だ。

ベテラン技術者の減少はAI/IoTがカバー
ベテラン技術者の減少はAI/IoTがカバー
現在の山手線の一部車両には、パンタグラフ周辺の状況をモニタリングするセンサが搭載されている
現在の山手線の一部車両には、パンタグラフ周辺の状況をモニタリングするセンサが搭載されている

 輸送司令室では、運行中の列車が今どこを走り、定時からどれくらい遅れているのかなどが画面上でリアルタイムに確認できるようになっている。横山氏によると、遅延があった時は「状況に応じてベテランの社員の手で運転整理している。この運転整理がうまく行えないと、お客さまの混雑状況が列車によって偏ったり、朝に埼玉で発生した事故の影響で、夕方になっても横浜でダイヤが乱れていることもある」とのこと。運転整理を支援するため、列車の混雑状況をリアルタイムに可視化するシステムを開発中であるが、今後はAIを用いて効率よく運転整理を行えないかチャレンジしているところだと説明した。

在来線の混雑状況をリアルタイムに可視化するシステム
在来線の混雑状況をリアルタイムに可視化するシステム
各列車の位置、進行方向、乗車率、遅れなどを確認できる
各列車の位置、進行方向、乗車率、遅れなどを確認できる
トラブルがあると後続列車が滞留していくのがわかる
トラブルがあると後続列車が滞留していくのがわかる
多数の並走路線の状況を一度に表示してチェック
多数の並走路線の状況を一度に表示してチェック

 列車の走行パターンを最適化し、回生ブレーキと蓄電の技術を併用することで電力消費量を抑える「エネルギー・環境」面の取り組みも進めている。しかし、JR東日本単体でできることもあれば、できないこともあると打ち明け、同社が主導するアイデアソンやハッカソンの開催を予告するとともに、積極的な参加を呼びかけた。2020年までに品川~田町間に完成する山手線新駅を実証実験の場にすることも検討しているとし、「1歩も2歩も先のサービスを提供し、ビジネスモデルそのものも見直して、21世紀のIoT/AI時代も(移動・輸送サービスは)鉄道が主役でありたい」と語った。

最適な走行パターンを見つけて消費電力を減らすことも検討している
最適な走行パターンを見つけて消費電力を減らすことも検討している

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