Amazonの最高経営責任者(CEO)であるJeff Bezos氏は、人類による最後の月面着陸から40年を経て、月への安定的で頻繁な配送サービスを始めたいとの野望を明らかにした。
民間の航空宇宙企業Blue OriginとThe Washington Postも所有するBezos氏は、同紙によるインタビューの中で、月面で安定した居住地を維持するには、信頼できる配送サービスが最も重要だと語った。
米航空宇宙局(NASA)の幹部らに送付した「独自かつ機密」なホワイトペーパーの中で、Blue Originは科学者らに対し、月への宇宙船を開発してAmazonのような出荷サービスとして利用することで、2020年中頃までに月の居住者に備品から食料まであらゆるものを配送できるようにする提案を早急に検討するよう求めた。
この配送サービスは、備品、リソース、人員を収容する居住者向けの風船型「居住区」を整備するためにも利用できる。Bigelow Aerospaceを創設したRobert Bigelow氏によると、そのような居住区は今後3年以内に導入準備が整う可能性があるという。
Blue Originは、そうした宇宙船やサービスが月面での「将来における人類の定住」を可能にする助けになると考えている。
「米国は今こそ月に戻るべきだ――今度は滞在するために。恒久的な月への移住は困難で価値のある目的だ」(Bezos氏)
今回のホワイトペーパーでは、Blue Originが設計する宇宙船は1万ポンド(約4536kg)もの物資を輸送できるほか、NASAの「Space Launch System」などさまざまなロケットを使って打ち上げが可能なことを示唆している。
Bezos氏によると、初めての配送は早ければ2020年7月にも試みることができるが、それはBlue OriginがNASAの支援を受けられる場合に限られるという。
Bezos氏は次のように述べている。「われわれには、液体水素に関する専門知識や正確な垂直着陸の経験があり、これによって月着陸船のミッションを現実のものとする最速の道が開ける。私はこのことに興奮しており、これを実現するため、NASAとともに自らの資金を投じる用意がある」
Eugene Cernan氏が1972年に月面に降り立ったのを最後に、NASAは月に人類を送り出していない。NASAは、米企業が宇宙飛行に投資して、宇宙を商用化する持続可能な事業計画を策定するよう熱心に働きかけており、Elon Musk氏が率いるSpaceXとすでに協力して、火星への飛行を目指す同社の計画に支援や助言を行っている。
ただし、貨物についてはあまり取り上げられておらず、そのためBezos氏はNASAに対し、「月への商用貨物配送サービスを実践してみせるためのインセンティブを民間部門に与える」よう求めている。
「(月着陸船である)『Blue Moon』の狙いは、費用効率の高い方法で月面に大量輸送することだ。どのような形であれ実現し得る最初の月移住には、そうした能力が必要になる」(Bezos氏)
1月には、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の学生チームが、無重力状態における発酵の仕組みをテストするため、月面でビールを醸造する計画を明らかにしている。SpaceXは、民間人2名の搭乗する宇宙船を月まで飛ばし、周回させて地球に帰還させる有人ミッションを発表している。2018年中に実行する計画だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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