スマートフォンネイティブが見ている世界

「大学垢」激増中--中高生が進学前にTwitterやインスタですること - (page 2)

個人情報の塊の合格通知書写真

 Instagramでは、さらに多数の写真が公開されている。「#高校受験」「#大学受験」「#高校合格」「#大学合格」「#合格」「#合格通知」など、さまざまなハッシュタグで合格報告写真が投稿されているのだ。こちらの場合は、つながりを増やしたいというよりも、付き合いがある人たちへの合格報告であり、写真もより気軽に投稿されているようだ。

 Twitterよりも問題なのが、投稿写真から色々な個人情報が読み取れる点だ。制服姿、合格通知書を公開している例は多い。中でも合格通知書写真は、名前や大学名、学部などを消さないで公開されている。名前だけ消していても、大学名や学部を公開している例もあるし、名前や大学名は消していても校章や校長名を消していない例もある。校章や校長名が分かれば学校を特定することは簡単なのだが、気にしている子はほとんどいないようだ。

 Twitterなどで「合格通知書をSNSで公開すると合格取り消しになる」というデマが出回っていたが、合格通知書は個人情報の宝庫だ。たとえ合格取り消しにならなくても、個人情報を公開しすぎることで、ストーカー被害や空き巣被害などに遭った人もいる。個人情報がわかる部分を公開してはいけないことは間違いないだろう。

偽の大学垢からの友だち申請も

 最近はTwitterでの検索機能が向上しているため、Twitter検索で調べれば大抵のことがわかる。話題のツイート、すべてのツイート、ユーザー名、画像などで検索結果をソートできる。この機能によって、多くの中高生を見つけることができるのだ。TwitterもInstagramも、非公開設定にしなければ誰でも投稿を見ることができ、個人情報を得ることは簡単だ。

 もうすぐ、2016年と同様に校名の入った卒業式の看板、校名のわかる入学式の写真などが多数投稿されるだろう。入学後は、「#高校」「#大学」「#大学生」などのハッシュタグを付けて制服姿を公開したり、校名を明らかにしたやりとりが始まるはずだ。

 苦労した受験勉強の末に合格して嬉しい気持ちはよく分かる。進学先での生活が心配になる気持ちもわかる。しかし、個人情報をあまり公開しすぎると、後々思わぬ被害が出たり、後悔する可能性が高くなる。あらかじめ、公開しても問題ない個人情報の範囲を決めてから使い始めることをお勧めする。保護者は今の時期だからこそ子どもたちの利用を見守り、適切なアドバイスをしてあげてほしい。

 また、中には「#春から青学」「#春から早稲田」「#春から日大」「#春から慶應」「#春から」などと複数の大学のハッシュタグを付けたユーザーや、前後のツイートを見ると大学進学は嘘と思われるアカウントも見つけた。高校垢や大学垢として募集しても、集まるフォロワーは必ずしも同じ高校、同じ大学に進学するユーザーだけではなく、悪意を持った大人などが混じっている可能性がある。友達になる相手は限定したり、情報公開やコミュニケーションには注意するようにアドバイスしてあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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