トランプ政権移行で米通信業界に影響--FCC、大手2社への「ゼロレーティング」調査終了

Marguerite Reardon (CNET News) 翻訳校正: 矢倉美登里 高森郁哉 吉武稔夫 (ガリレオ)2017年02月06日 10時22分

UPDATE 米連邦通信委員会(FCC)は米国時間2月3日、大手通信事業者のいわゆる「ゼロレーティング」提供を対象とした調査を終了すると発表した。ゼロレーティングは通信事業者の慣行で、顧客がモバイル機器の特定の動画アプリを使う場合、月々のデータ通信量にカウントされることなく動画をストリーミング視聴できるようにするというものだ。

提供:FCC
提供:FCC

 AT&Tは顧客に向けて、自社モバイルネットワークを介した月額35ドルの「DirecTV」動画サービスを提供し、そのストリーミングデータを月間データ使用量の対象から外している。Verizonも同様に、「Go90」動画サービスを顧客に提供し、データ使用量に加算していない。

 今回のニュースは、1月23日にDonald Trump大統領によってFCCの新委員長に指名されたAjit Pai氏が、前政権で民主党によって採用された政策を廃止する措置に着手する中で伝えられた。物議をかもした2015年のネット中立性規則は、重大な危機にさらされるとみられる。低所得世帯向けのブロードバンドおよび電話サービスに補助金を支給する「Lifeline」プログラムの拡大など、論議を呼んだ他の政策も同様だ。

 Pai氏は声明の中で、これらの企業が提供するゼロレーティングのプランは消費者から支持されてきたと述べた。

 「FCCはこれから先、米国民によるデータの無料使用を否定することに注力しない。その代わりに、ブロードバンドの採用を拡大すること、革新的サービスの提供を促進することに集中する」(Pai氏)

 FCCはComcastとT-Mobileにも書簡を送り、両社の慣行に関する調査も終了したことを伝えた。FCCが最初にこれら4社に関する非公式の調査を開始したのは、1年以上前のことだった。2016年12月には当時のTom Wheeler委員長(民主党)のもとで仮報告書を公表し、AT&TとVerizonが自社の動画サービスを競合各社のサービスより優先することで、FCCのネット中立性規則に違反していると批判した。

 FCCは、12月に報告書を公表した時点で罰則を科していなかった。今回調査が終了したことで、AT&TとVerizonは、データ使用料を課さずにサービスを継続できるようになった。

 AT&Tは声明の中で、今回の動きを「大勢の消費者にとっての勝利」と表現した。Verizonは、同社の無料データプログラムが消費者に恩恵をもたらすものだと常に信じているとして、「FCCも同じ考えであることは非常に心強い」と述べた。

 一方、10年以上にわたってFCCにネット中立性規則を承認させようと闘い、ゼロレーティングサービスに反対してきた消費者保護団体は、あまり楽観的ではない。ワシントンD.C.に拠点を置く消費者保護団体のPublic Knowledgeは、FCCの動きを「深刻な問題だ」と述べた。

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