LGエレクトロニクスは、デジタルサイネージの表現の幅を大きく広げている。有機ELディスプレイをつなげ、大きなウェーブを作り出したり、トンネルを作ったり。最近は設置場所が大幅に広がる薄型化にも熱心だ。韓国、米国を中心に展開しているデジタルサイネージは日本市場にも参入し始めている。新製品ラインアップとその技術について、LGエレクトロニクス・ジャパンが説明会を実施した。
「デジタルサイネージの世界市場は、2016年で18%の伸びを示した。その中でLGのシェアは2015年通年の15.7%から2016年1〜3Qは19.3%になり、顕著に伸長している」とLGエレクトロニクス・ジャパンのデジタルサイネージ事業推進室長である斎藤秀実氏は、現状を説明する。
現在、デジタルサイネージは店舗、駅などの交通機関、政府や企業、教育向けとあらゆる場所に導入が進んでいる。しかし求められるサイズや形、仕様は設置される場所によってさまざま。「お客様が多岐にわたるのがデジタルサイネージ市場の特徴。お客様ごとに課題が異なり、その課題を解決するべく最適化された製品をラインアップしている」(斎藤氏)と、LGの強みを話す。事実、10~98インチまでのサイズ展開、タッチ機能や高輝度、透過型など機能の差別化など、ラインアップは豊富。曲面を利用した大胆なアレンジを加え、韓国の仁川国際空港やソウルの南山タワーで目を引くデジタルサイネージを展開している。
そんなLGが新製品として用意したのが、「Dual-view Flat」「Wallpaper」「Fixed Curved Open Frame」「In-Glass Wallpaper」の4つだ。イングラスウォールペーパーが製品化予定としている以外は、すべて商品化済みだ。
Dual-view Flatは、2枚の有機ELディスプレイを貼り合わせ、前後で見ることができる背面のないディスプレイ。プレーヤーを2台用意し、前後で別々の映像も映し出せる。2枚を貼り合わせた構造ながら、パネル部の薄さは7.94mm。左右が通路になっている場所や、360度人通りがあるような広い場所への導入を狙う。天吊型、床置き型に加え、ディスプレイの片側を取り付けられるウォールマウント型をそろえ、設置方法も多彩。「どんな場所にも置ける」ことを具現化している。
さらなる薄さを追求しているのがWallpaperだ。パネル部分のみを壁掛け用途として壁に貼り付けるように設置ができ、パネル部の厚さはわずか3.45mm。この形状が実現できた理由は、バックライトがいらない、自発光ディスプレイの有機ELだからこそだという。ブラケットを使って取り付けられ、軽量なため、あらゆる壁に取り付けられる。
Fixed Curved Open Frameは、曲面が目を引き、注目を集めるデジタルサイネージが作れる。複数枚を組み合わせ、曲げた状態でなおかつ大型化が可能。短辺1500Rまで、長辺2000Rまでの曲率を実現する。写真は55インチを4面接続したもの。縦方向にも接続ができる。
参考展示のイングラスウォールペーパーは、ガラス2枚で有機ELディスプレイを挟んだもの。デュアルビューフラット同様、前後で別々の画像を映し出せる。ガラスで挟んだ状態ながら薄さも確保している。
いずれも使用している有機ELディスプレイは共通で、サイズは55インチ、解像度は1920×1080ピクセルのフルHDになる。LGでは今後、よりベゼルの狭いモデルを開発していくほか、焼付きの低減や曲率の向上などの改善策も検討しているとのこと。さらなる強力なラインアップで日本のデジタルサイネージ市場拡大を狙う。
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