韓国のLG Displayは、次世代のテレビ画面技術である有機EL(OLED)の開発を積極的に進めようとしている。同社は現地時間11月27日、この超高精細パネルを開発する工場に87億1000万ドルを投資すると発表した。
この工場では主にテレビ向けの大型パネルを製造するが、スマートウォッチや車載ディスプレイ向けのフレキシブルパネルも開発する。LGによると、2018年前半に生産を開始する予定だという。
「P10」と呼ばれるこの工場は巨大だ。広さはサッカー場14面分で、高さは100m(約30階建てのビルに相当)もある。
有機ELパネルへの投資は、消費者が今後さらなる画質向上を望むことを想定した賭けと言える。熱心なテレビファンは、日当たりの良い部屋でも有機ELパネルが生み出す深い黒と明るい白を好む。米CNETのDavid Katzmaier記者は、LGの有機ELテレビ「55EC9300」を評して、「これまでに観た中で最高の画質だった」と述べている。有機EL技術はこれまで手が出ないほど高価だったが、有機ELの開発に注がれる資金が増えて、より多くのパネルが市場に出回るようになれば、そうした状況も変わる可能性がある。
LGは、10月に発表した直近の決算でテレビの売り上げ好転を報告していたほか、26日には、経営体制を再編して個々の事業部の自立性を高めると発表した。同社は新しい有機ELパネルを自社で活用するだけでなく、他のテレビメーカーにも販売する意向だ。
市場調査会社のIHSによると、有機ELパネル市場は2014年の87億ドルから2022年には291億ドルに成長すると見込まれているという。LGは、自らをこの成長の中心に置きたいと考えている。
LG Displayの社長兼最高経営責任者(CEO)である韓相範(ハン・サンボム)氏は、次のように述べている。「LG DisplayによるP10工場への投資は、業界にとって歴史的な投資だ。なぜなら、有機EL市場の拡大に寄与するだけでなく、未来のディスプレイ技術の開発を加速させることになるからだ。韓国政府による積極的な支援を受けたP10工場は、世界の有機EL産業の中心になるとわれわれは考えている」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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