ソニー、映画分野で減損--「映画事業は売却しない、腰を据え立て直し」

 ソニーは、2017年3月期第3四半期(2016年4~12月)連結業績を発表した。売上高は、前年同期比9.3%減の5兆6996億円、営業利益は49.8%減の1943億円、税引前利益は59.5%増の1638億円、当期純利益は80.7%減の456億円となった。

 一方、2016年3月期通気見通しを修正。売上高は、11月公表値に比べて2000億円増の7兆6000億円と上方修正したが、営業利益は300億円減の2400億円、税引前利益は540億円減の1960億円、当期純利益は340億円減の260億円とした。

ソニー 代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏
ソニー 代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏

 ソニー 代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は「第3四半期の業績では、映画分野における営業権の減損で1121億円を計上したことが影響している。一方で通期見通しは、売上高は主に為替の影響で上方修正。営業利益は映画分野での減損が影響している。半導体分野では、売上高、営業利益ともに大幅に上方修正した」と説明した。

 第3四半期累計のセグメント別業績では、モバイル・コミュニケーションの売上高が前年同期比36.1%減の6033億円、営業利益が447億円増の253億円となった。「費用削減効果や為替の好影響はあったものの、欧州地域を中心としたスマートフォンの販売台数減や、前年度に事業を縮小した不採算地域でのスマートフォンの販売台数減が影響した」という。

 2016年度通期見通しは、11月公表値に比べて売上高が200億円減の7600億円。営業利益は変更がなく50億円。「売上高は、中南米や中近東などの海外におけるスマートフォンの販売台数減が影響。一方で、営業利益は費用削減効果と、スマートフォンの価格維持が影響。通期黒字化を目指したい」とした。スマートフォンの販売計画は、200万台下方修正し、1500万台とした。前年の2490万台から大幅に削減することになる。

連結業績見通し
連結業績見通し

 ゲーム&ネットワークサービスの売上高が2.6%増の1兆2680億円、営業利益が295億円増の1131億円。「ネットワークを通じた販売を含む、「PlayStation 4」向けソフトウェアが前年同期比40%増となっている。また、「PlayStation VR」が貢献した。だがPlayStation 4の価格改定がマイナス影響となった」と説明。プレイステーションPlayStation VRの販売台数は明らかにしなかったが、「想定通りに売れ行きになっている」と述べた。

 2016年度通期見通しは、売上高で500億円増の1兆6400億円としたが、営業利益は1350億円を据え置いた。

 イメージング・プロダクツ&ソリューションの売上高は、19.9%減の4247億円、営業利益が202億円減の435億円。「為替の影響や、販売台数の減少があったものの、静止画・動画カメラにおける高付加価値モデルへのシフトによる、製品ミックスの改善が貢献した」と述べた。

 2016年通期見通しは、売上高で100億円上方修正して5700億円、営業利益は90億円増の430億円とした。「円安がプラス影響になっている」と説明した。デジタルカメラの出荷計画は、20万台上方修正し、400万台を目指す。

 ホームエンタテインメント&サウンドの売上高は12.7%減の8242億円、営業利益が59億円増の637億円。為替の影響がマイナスに働いたが、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善がプラスになったという。テレビ事業は「為替の影響や主要部材の価格変動、激しい競合環境などが影響し、市場変動が大きいが、オペレーション力は大きく向上していると判断している」と述べた。液晶テレビの出荷台数は、前年実績の1220万台から、1200万台に減少する計画には変更はない。

 2016年度通期見通しは、売上高が200億円増の1兆300億円、営業利益は60億円増の530億円とした。「高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善が図られている」という。

 半導体の売上高は3.2%減の5720億円、営業損失が1086億円減の206億円の赤字。だが、第3四半期はモバイル機器向けイメージセンサの販売数量が増加して、前年同期比16.9%増の2339億円と大幅な増収になっている。2016年通期の見通しは、売上高が600億円増の7700億円、営業損失は340億円増とし、マイナス190億円まで赤字幅を削減する計画だ。

 「半導体のうち、イメージセンサは2015年度後半から主力となるモバイル機器向けが減少し、その後も円高によるマイナス影響、熊本地震の影響もあり、収益性が大幅に低下。2016年度上期も低調だったが、第3四半期から中国メーカー向け拡販の効果や地震影響の減少、円安メリットもあり、収益性は回復傾向にある。だが、モバイル機器向けは市場変動が激しいことから慎重に見ていく。カメラモジュールについては、2016年5月に、外販向け高機能カメラモジュール事業の中止を発表し、11月には中国工場の譲渡により、多額の損失を計上し、大きな反省材料だと認識している。だが、これによってスマホ向けカメラモジュールは事業規模を大幅に縮小する。

 また、アナログLSIや新規事業が含まれているが、収益性が厳しい。事業の将来性や収益性を精査している。第4四半期の見通しには、一部事業の終息も含めている」と説明した。

 コンポーネントの売上高は前年同期比19.0%減の1422億円、営業損失は86億円減の451億円の赤字となった。為替がマイナス影響になったという。2016年度通期見通しは、売上高は1900億円と据え置いたが、営業損失は30億円減の510億円の赤字とした。「電池事業については、村田製作所への譲渡に向けた準備を進めている」と述べた。

第1~3四半期セグメント別業績
第1~3四半期セグメント別業績

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