ヤマハとエイチ・アイ・エスは3月31日、スピーカから流れる音声を文字情報に変換してスマートフォンで見ることができる「おもてなしガイド」の体験会を開催した。
おもてなしガイドは、対応スポットでアナウンスが流れているときに、「音声内容を取得」ボタンを押すと、アナウンスの内容を文字で表示できるアプリ。現在iOS版が無料で提供されており、Android版も準備中だ。ヤマハが開発し、H.I.S.やUSENと組んで店舗や交通機関などへの導入をすすめている。
音声認識技術の一部や、音声の波形データを利用することで、音声を文字化することができ、インターネットへの接続も不要。緊急時のアナウンスなど、リアルタイムでの変換も実現する。英語、中国語、フランス語などの多言語にも対応し、訪日外国人が日本語のアナウンスを母国語に変換して確認することもできる。このため、聴覚障害者や訪日外国人向けの新たな音声ガイドとして期待される。
今回の体験会は、「H.I.S.×ヤマハ Sound UD化プロジェクト」の第1弾として実施されたもの。聴覚障害者とその友人、家族を対象に30名程度を募集した。東京都江東区の日本科学未来感のイノベーションホールで、おもてなしガイドを使ったプラネタリウムを上映。ナレーション内容を手元のスマートフォンでリアルタイムに文字で確認できた。
H.I.S.では、障害を持っている人に旅行を手配する専門部署「ユニバーサルツーリズムデスク」を設けており、手話、筆談での旅行相談や、手話ができる添乗員が同行するオリジナルツアーなどを企画。自身も聴覚障害を持つエイチ・アイ・エスの片桐幸一氏は「今後はおもてなしガイドを取り入れている施設などと連携しながら、聴覚障害者の方、訪日外国人の方を含め、一緒に楽しめるような企画をしていきたい」と話した。
会場には、ユニバーサルデザインに関するコンサルティングなどを手掛けるミライロの岸田ひろ美氏、衆議院議員の秋元司氏などが登場。いずれも手話通訳と要約筆記をつけてあいさつをした。
おもてなしガイドは、スピーカなど既存の設備をいかした形で導入ができ、すでに成田国際空港や阪急電鉄、京阪電気鉄道などにも導入が進んでいる。今回実施したような体験会を通して利用者の意見を取り入れていることも特徴で、文字が表示される際に知らせるバイブレーション機能は、体験会での意見を反映して取り入れたもの。今後の展開については「テーマパークやショッピングセンターなどでのアナウンスなどにも対応していきたい」(ヤマハの瀬戸優樹氏)と話した。
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