ユークスは1月14日と15日の2日間、拡張現実(AR)アーティスト「AR performer」によるライブイベント「AR performers 1st A'LIVE」をディファ有明にて開催した。
AR performerは、「ときめきメモリアル Girl's Side」シリーズや「ラブプラス」シリーズなどを手掛けたゲームクリエーターとして知られ、現在はユークスに所属する内田明理氏による新プロジェクト。キャラクターデザイナーやCGクリエイター、ボイスアクター、ダンサーなどが集結し、圧倒的な魅力を持つアーティストを作り上げていくというものとなっている。
ライブでは最新の映像技術を駆使し、全てがリアルタイムで展開する公演となっているほか、観客がライブの進行や演出に直接影響を与えるギミックも施された新時代のライブエンターテインメントとうたっている。2016年4月には「AR performers β LIVE」という形でお披露目を行い、今回はファーストライブとして2日間6公演を行った。
ステージ上では、キャラクターたちによる歌とダンスのパフォーマンスを披露。さらにキャラクター同士はもとより、MCや観客も含めてリアルタイムに会話し、それにあわせてリアクションの動きもある。ときにはMCが観客席にいたファンに質問を直接聞きにいき、それに答えるキャラクターといったシーンもあったが、これら一連のやりとりはアドリブ満載で、いわゆる収録映像や録音した音声を再生したものではない“生のやりとり”が展開。人間らしい対話があることで、あたかもその場にいるような存在感を生み出していた。
さらにスマートデバイス向けアプリを活用した、観客がライブに参加できる仕掛けも用意されていた。特定のコーナーでは楽曲が披露されているときに、リズムゲームのようなアイコンとマーカーがステージ中に出現。タイミングをあわせてスマートデバイスを“振る”ことにより応援することができ、より多く応援した観客のコメントがステージ上に表示される仕掛けも披露された。
さらに応援の多さがランキングとして表示され、上位に入ったファンには、キャラクターがステージ上から呼びかけ、お礼のメッセージが贈られるなどのご褒美も用意されていた。
さらにこの仕組みを活用し、2人のアーティストが同時にステージ上でパフォーマンスを披露し、どちらがより多くの応援を集めたかで勝敗を決める「バトルソング」というコーナーも実施。単に勝ち負けを競うだけではなく、パフォーマンス途中の中間発表で優勢だったほうが、その後のパートをソロで歌う方ができるという、観客が演出に介入するシーンもあった。
キャラクターがパフォーマンスをするライブでは、初音ミクのライブに代表されるような、半透明のスクリーンに投影させることによって、キャラクターの実在感を出す方法が多く見られるが、このAR performersは、会話とコミュニケーションで実在感に説得力を持たせてるように思えた。軽妙なトークで笑ったりもしたが、見ていてもリアクションに違和感がないと言い切れるほど。そして、こうしたライブ会場にいないと感じられない体験、楽曲は同じでも公演ごとに変化するトークやコミュニケーションは“ライブは生もの”という印象を持たせ、単に楽曲で盛り上がる以上の強い思い出として記憶される。スマホ活用の施策も含めて、キャラクターコンテンツのライブのなかでも一歩先行くものだと感じた。
なお、AR performersは15日に行われた最終公演で、エイベックスからメジャーデビューすることを発表。エイベックスがARキャラクターとアーティスト契約を結ぶのは初めてという。3月に予定しているファーストミニアルバム発売を皮切りに、幅広く展開していくとしている。
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