ホームオーディオについては、AVレシーバが400ドル以上のレンジでも年間100万台規模の安定的な需要があること、サウンドバーも400ドル以上の市場が成長していること、Wi-Fiスピーカの需要も急速に増加していることなどを指摘。「『Amazon Echo』の広がりもあり、ホームネットワークの拡大が、こうした需要を下支えしている」と述べた。
さらに「100ドル以上のヘッドホン市場が成長しており、ワイヤレスが必須になっている。Bluetooth対応が主流になっている」などとし、ワイヤレス対応でノイズキャンセルリング機能を搭載した「MDR-1000X」をフラッグシップに他社との差別化を図る考えを示した。
さらにデジタルカメラは、イメージセンサを生産している「熊本テック」が熊本地震により被災。2016年度上期に、デジタルカメラの生産において大きな制約を受けたことに触れながらも、「熊本テックの社員が一丸となって取り組み、イメージセンサの生産量は短期間に回復し、デジタルカメラは年末商戦には出遅れることがなかった。
市場全体としては、右肩下がりの状況にあるが、レンズ交換式カメラは右肩上がりで成長しており、レンズも増加している。従来は、エントリーモデルが主流の市場であったが、現在は、カメラが好きな人を対象にしたビジネスになっており、さらに、プロフェッショナル向けにも販売が増加している。ハリウッドでも活用されはじめており、プロ用と民生用の製品に境目がなくなってきた。ソニーは、ここに商機を見いだしたいと考えている。カメラのトレンド変化は、ソニーのカメラビジネス拡大につながっている。解像度、感度、動画撮影などの強みを生かした提案を進めたい」とした。
さらに「コミュニティへの取り組みが今後は重要になる。購入後のユーザーに対し、デジタルカメラ『α』をいかに楽しく使ってもらうかといったサポート強化や、プロフェッショナル向けのサポートも重要である。商品開発部門と連動して、販売およびマーケティング手法を検討したり、イベントを企画するといったことも考えたい」と述べた。
「ユーザーが使っている現場にエンジニアが出向き、直接、使っている様子をみたり、声を聞いたりといった活動をしている。先日も、ボストンの撮影現場にエンジニアが出向き、そこで、実際の仕事で使っている人が不満に思っていることを聞いた。ボタンの位置1つをとっても、エンドユーザーから要望が出てくる。従来のモノづくりは、不特定多数の人に対して、ソニーが提案をする手法であったが、カメラに対するトレンドが変化したことで、顧客が使っているシーンから逆算をして商品開発をすることがこれからは大切になってくる。顧客視点でモノづくりをしていくことが必要である」と語った。
奥田氏は、2016年の年末商戦の取り組み成果についても振り返り、「北米市場においては、ホームエンタテインメント商品では、テレビ、サウンドバー、ヘッドホン、デジタルカメラ4つの製品に注力した」と前置きし、「1500ドル以上の4Kテレビで26%のシェアを獲得し、75型以上では46%のシェアを獲得した。高価格帯でシェアを獲得している。また、レンズ交換式カメラでは14%のシェアを獲得。フルフレームカメラでは20%を獲得しており、キヤノン、ニコンに続く、3番目のブランドとして認知されてきている。また、サウンドバーでは、400ドル以上の市場において15%のシェアを獲得し、100ドル以上のヘッドホンでは、8%のシェアを獲得した。この市場に関しては、これからビジネスを伸ばす余地がある」と総括した。
過去3年の赤字の止血を完了し、いよいよ北米市場においても成長戦略に踏み出すソニー。2017年以降は、北米市場における「ソニーファン」づくりを推進しながら、市場での存在感を高める考えだ。
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