Appleにとって、2016年は実に浮き沈みの激しい年だった。
この年、同社は主力のiOS製品以外の製品のテコ入れに取り組んだ。「Apple Watch」のユーザーインタフェースは刷新されたが、スマートウォッチ市場全体は落ち込んだ。「Apple TV」には新しいコンテンツナビゲーションアプリが登場した(だが、Appleのテレビサービスに統合されたものではなかった)。新設計の「MacBook Pro」には、細長いタッチディスプレイが付いた。イヤホンの「EarPods」にさえ、革新的な無線の後継モデルが登場した。だが、「iPhone」の年次アップデートは、ホームボタンに奇妙なクリック感が追加され、はやり始めたデュアルカメラを搭載した程度だった。
同社のイノベーションが減速しているという執拗な非難に対し、Appleは人工知能(AI)や自動運転車、拡張現実のような“興味深い分野”の研究をしていると主張している。ここでは主に同社の競争環境に基づいて、幾つかのシンプルな成功策を提案したい。
iPhoneを生き返らせる。AppleはただのiPhone企業ではない。だが、売上高への貢献度をみると、同社の製品の中でiPhoneが群を抜いている。iPhone発売10周年を迎え、スマートフォンも浸透した今、iPhoneをとりまく競争状況はこれまでになく激しくなっている。Googleがハイエンド端末で攻勢をかけ、中国メーカーが送り出すミッドレンジ端末はますます優れたものになっていく。
うわさでは、次世代iPhoneはプロセッサの性能が上がり、ディスプレイは(縮小傾向にある主流に反して)より大きくなって曲面ガラスあるいはプラスチックになるという。もっとも、この程度では他社に追随しているだけだ。しかし、USB Type-Cのように見えるLightningコネクタの後、Appleが無線充電を主流にしてくれたらうれしいだろう。
Siriの連携強化。Appleは2016年、主要アプリの幾つかをOSに統合した。同年のチャットボットへの注目の高まりを考えると、「iMessage」は自然な選択だ。だが、さらに高い可能性を持つはずなのは「Siri」だ。SiriはAppleの音声アシスタントで、同社の円盤型の新キャンパスのように同社の周囲を急旋回しているAI熱の端緒になったものだ。
現在、Siriと連携できるアプリは少ない。だが、iPhoneハードウェアにおける競争と同じく、この分野でも競争が激化しそうだ。Googleが「Google Assistant」の取り組みを強化しており、サムスンもSiriの開発者が設計したVivの技術を買収し、それを基に独自のエージェントを世に出そうとしているためだ。
音声ホームアシスタントの取り組みを発表する。私はかつて、「Amazon Alexa」や「Google Home」に対抗するAppleの製品は、iPhoneの上に円筒を置いたものでいいというジョークをツイートした。それに遠方の音を拾えるマイクを追加し、画面への依存を減らし、もう少し工夫すればそれなりの製品になりそうだ。
Amazonが、先のホリデーシーズンに前年の9倍もの「Amazon Echo」を販売したと発表する中、音声で制御するホームアシスタント事業は、実用性に関する疑問は残るものの、成功しているといえるだろう。Android端末経由で毎日数十億件の音声命令を処理しているGoogleでさえ、家の中でさまざまなリクエストや命令を収集することに価値を見出しているのだから、AppleがSiriやその他のAIの取り組みを強化する意義はあるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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