LINE砂金氏、チャットボットは「カスタマーサポートの定石になる」--CNET Japan Conference 2016 - (page 2)

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カスタマーサポートとチャットボットの相性とは

 現在LINEは、日本人口の53%におよぶ6800万人超の利用者と、71%のDAU(デイリーアクティブユーザー)を誇る。さらに男女15歳から69歳までの世代別アンケート調査によれば、すべての年代で9割が毎月LINEを利用しているという。砂金氏は、「エンジニアならSlack(開発者に人気のチームコミュニケーションツール)が1番と考えるが、自分が使っているものがベストというのは誤った認識」と語り、すでにLINEはコミュニケーション基盤として認知されていることを聴講者にアピールした。

 企業におけるLINEという基盤への注目度も高まっており、すでにいくつかの導入事例があるという。たとえば、ヤマト運輸は配達状況の確認や再配達の日時変更といった顧客対応をLINE経由で可能にしている。「(再配達の連絡を)電話やメールでは返さない人がいるため、(荷物が営業所に溜まって)困っている。だが、LINEで連絡すると返事が返ってくる傾向が高い」(砂金氏)ため、同社は連絡業務や荷物管理といった業務改善とコスト削減を実現したという。さらに「利用者が便利になる」ことも重要だと砂金氏は強調した。

 2つめの事例はナビタイムジャパン。チャットボットを利用した乗り換え検索サービスをLINE上で展開している。Microsoft Cognitive ServicesのLUIS(Language Understanding Intelligence Service)を用いたボットアカウントが、乗り換えに必要な経路や時刻表、運行情報などを教えてくれるというもの。ただし、砂金氏は「ネイティブアプリで調べる前に、チャットボットが話しかけるプロアクティブなサービスなら素晴らしい。我々も解答にたどり着いていないが、行動履歴や個人的特性を取得すれば、よりユーザーフレンドリーな対話インターフェースに進化するという仮説がある」と語り、今後の改善を目指すとした。

 3つめの事例は、LINE自身が導入した電子決済サービス「LINE Pay」のカスタマーサポート。同社は電話でのサポートをテキストチャットに切り替えることで、回答による顧客満足度を、当初の67%から89%まで改善したという。「(チャットボットによる)ブランド構築は何をもって成功と見なすか指標が難しい。だが、テキストチャットで問い合わせ、チャットボットや人間が回答する分野は、効果が分かりやすい」(砂金氏)と説明しつつ、学習データやFAQを増加し、満足度を高めたことを明かした。

LINEが2017年春頃から開始する「LINE Customer Connect」の概要
LINEが2017年春頃から開始する「LINE Customer Connect」の概要

 さらに、2017年春ごろから展開を始める法人向けカスタマーサポートサービス「LINE Customer Connect」を紹介。顧客からの問い合わせに対して、LINE上での対応を可能にしつつ、カスタマーセンターによる有人対応と、事前に用意したFAQを元に、チャットボットによる自動応答を相互に切り替える。顧客が満足しなかった質問を蓄積し、機械学習などを通じてFAQを更新するといった継続的な向上も図られている。

 すでに数社が段階的な試験運用を開始しており、アスクルが運営するECサイト「LOHACO」では、チャットボットの「マナミさん」が稼働中。「日本人はチャットボットに何を話しかけるべきか迷うため、よくある質問をリッチメニューにプリセットし、会話のきっかけを生み出す」(砂金氏)という。夢の街創造委員会の「出前館 on LINE」や、AIR DOの「AIRDO ONLINE Service」といった事例を紹介つつ、今後このようなカスタマーサポート業務をチャットボットが担うことは「定石になる」と砂金氏は予想した。

LINE Customer Connectを試験導入したアスクルの「LOHACO」
LINE Customer Connectを試験導入したアスクルの「LOHACO」

 LINEは「ビジネスツービジネスやビジネスツーカスタマー、ブランド構築など、互いの距離を縮めることをビジョンに掲げている」(砂金氏)として、今後もチャットボットを通じたビジネス展開を加速させると話を締めた。

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