「好きな人とのLINEは何度も読み返す」と女子高生に聞いたことがある。暇なときなどに読み返すと、楽しい時間を思い出して幸せな気持ちになれるのだそうだ。さらに暇なときには、過去の友達とのやり取りを読み返すこともあるという。「友だちもみんな読み返してるよ」と彼女は言う。
SNOWやSnapchatをエフェメラル系SNSとしてではなく、画像加工アプリとして使っているユーザーも多い。「インスタがメインのSNSだけど、加工はSNOWが可愛いから、SNOWで加工してからインスタにアップしてる」という女子高生がいた。
エフェメラル系SNSで静止画や動画を撮影すると、静止画や動画はスマートフォンには残らないので、ストレージを圧迫しないというメリットがある。しかし、同時にいくら可愛く撮れても残せないというジレンマもある。つまり、エフェメラル系SNSでスクリーンショットを撮ったり他のSNSに転載するのは、読み返したいためであり、残したいためでもあるのだ。
普通のSNSは投稿が自動で残るので、自分で情報のコントロールができない。知らない間に知らない人に見られたり、残ってしまい後でさらされることもある。ところが、エフェメラル系SNSのスクショや他のSNSへの転載ならコントロールしているのは自分だ。「勝手に残るのは嫌だが、残したいものは残したい」というのが、彼女らの本音なのだ。
女子高生たちは、サービスを自由に使いこなすことがうまい。エフェメラル系(消える系)SNSでも、平気で消えない使い方をする。サービスの機能に縛られず、使いたいように使うのが彼女たちだ。
使い方の実態を見ることで、彼女たちの本音を知ることができる。エフェメラル系SNSが流行っている裏に、SNS疲れに陥っていたり、炎上を恐れていたり、若者だけの空間を保ちたいという思いがある。可愛らしく撮った画像・動画や楽しいやり取りは残して見返したいと思っている。
使い方の実態を知り、彼女たちの本音を知ることで寄り添ったアドバイスができるようになる。ぜひ参考にしていただければ幸いだ。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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