アップルがやらないことをやる--コンピュータ修理店の生き残りをかけた闘い - (page 2)

Dan Ackerman (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年12月08日 07時00分

Appleがやらないことをやる

 再びイースト川を渡ってブルックリン側に戻ると、Appleが新しく出店したウィリアムズバーグ店のすぐ近くに、Mikey's Hook-Upがある。Appleを中心とするコンピュータやテクノロジを扱うショップで、2001年からウィリアムズバーグのアーティスト、ミュージシャン、クリエーターたちのご用達になっている。自身もミュージシャンであるMikey Weiss氏が、歩道に折りたたみテーブルを広げてコンピュータケーブルやアクセサリを売り始めたのがきっかけだった。今でも、同氏の店はコンピュータ修理店というより、古風なギターショップという雰囲気を漂わせている。Weiss氏の説明によると、その店は「マルチメディア世代のためのハードウェアショップ」で、ミュージシャンやDJ、写真家のための商品も手広く扱っている。

 Weiss氏は、数ブロック離れたところに新しくオープンするApple Storeに対し、マンハッタンに複数あるApple Storeが何年ももたらしてくれているような効果を期待している。すなわち新しい顧客をよこしてくれるという効果だ。「Appleが対応する修理は、かなり限られている。営業中はずっと、Appleで扱えない修理だからと言って、ソーホー店からも14丁目店からも、客が流れてくる。RAMの増設はしてくれないし、ユーザーデータも保存してくれないからね」(Weiss氏)

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Mikey's Hook-Upの創業者、Mikey Weiss氏
提供:Sarah Tew/CNET

 Mikey's Hook-Upが地元コミュニティーに特化しているように、Marc Anglade氏が開いたMRK Computer Servicesもブルックリンのクラウンハイツ地区では欠かせない存在になっている。「子どもの頃、長い間クラウンハイツで過ごしたから、自分の仕事を地元で役立てたかった」とAnglade氏は言う。そのため、同氏の気取らない店舗には、Apple「iMac」が一面の壁にずらりと並べられており、地元の学生が無料で利用できるようになっている。

 「調べものや宿題をやりたがる子どもを、たくさん見てきた」ため、店に来て「調べものをしたり、レポートを作成したり、ただ印刷したいものを印刷したり」できるようにしたのだと同氏は言う。店を開いてから、800人くらいの子どもの役に立てたと見込んでいる。「飛びついてきて、お礼を言われるよ。うれしいものだ」(Anglade氏)

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MRK Computer Servicesの創業者、Marc Anglade氏
提供:Sarah Tew/CNET

コンピュータが進化し、修理の需要は減った

 Tekserveも、コンピュータ修理業界の変化を乗り切ろうと模索している。ユーザーに愛されてきたチェルシーの名物店舗はなくなるかもしれないが、中小企業を相手に長く続いてきた同社のIT、営業、サービス部門は、今後も存続する。

 大手チェーン店の出店で競争は激化しているものの、TekserveのGepner氏は、実店舗事業からの撤退についてAppleやBest Buyのせいにしてはいない。「テクノロジの信頼性が上がって、10年前よりモノは壊れにくくなった。修理事業、特に小売店の修理事業というのは、モノが壊れて修理に持ち込まれるのを頼りにしていたのだから、それを考えるとこの変化は重要なことだ」(Gepner氏)

 チェルシーの立派な店舗で2万5000平方フィート(約2323平方メートル)分の賃料を払っているとなれば、確かにその意味は大きい。しかし、Apple優位のこの時代を生き残るためには、独立系コンピュータショップを経営する人であれば誰でも、その勘定を念頭に置いておかなければならない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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