中国で行われている桁外れのイベント「光棍節(独身者の日)」をご存じだろうか――。
EC最大手のアリババグループがネット通販の普及を目的に7年前から開始したイベントで、“数字の1が横一列に並ぶ(双十一)”ことから「独身の日」と呼ばれる11月11日に、特別セールを実施している。いつの間にか独身の男女がシングルであることを祝い、自分のためにご褒美を買う記念日として定着したもの。2016年も毎年恒例の24時間限定タイムセールを実施した。
2015年はスタートして8分で決済総額が10億ドル(約1040億円)を超えたが、今年はその記録を3分縮め、セール開始後の5分間だけで10億ドル(約1070億円)という大記録をたたき出した。この記録は、CtoCのECサイト「Taobao.com」とBtoCの「Tmall.com」などを含んだ、グループECの総売り上げとなる。
決済額はその後も伸び続け、総取引額が1207億元(約1兆8900億円)となり、前年比で32%増加した。この日の24時間での売上は、米国にて11月下旬の5日間(ThanksgivingからCyber Mondayまで)に行われる、同国最大のオンラインショッピング期間の売上額をもしのいでいる。
今回は、中国ECの目玉イベントとも言える「双十一」商戦の模様を紹介する。
2009年から開始した双十一は2016年で8回目。アリババは過去数年、「独身の日」を国際的なアニバーサリーにしようと力を入れてきた。今年は特に、中国国外に向けてのPRと買い物イベントの認知拡大に注力し、お祭りを盛り上げるために大規模なカウントダウンイベントを開催。11月10日の前夜祭には、“家族の事情”でケイティ・ペリーがドタキャンしたものの、デヴィッド&ヴィクトリア・ベッカム夫妻やコビー・ブライアント、スカーレット・ヨハンソンらが参加した。
ジャック・マー創業者兼会長が参加した本イベントは中国全土にTV中継されたほか、同社のネットTV「Youku.com」で全世界に配信された。驚異的なスピードで上昇する流通総額の途中経過を公開し、注目を集めた。
同社のサイトに集結したのは、195の国から1万3000のブランド。売り上げ上位ブランドは、「Nike」「adidas」「ZARA」「GAP」「ユニクロ」「パナソニック」などで、日本勢も健闘した。24時間のタイムセールで注文を受けた荷物は6億5700万個で、総取引額のうち82%がスマートフォンなどの携帯端末を使って注文された。
アリババはネットを通じて外国製品を売買する越境ECに力を入れており、衣料・家電以外でも「カルビー」など多数の日本企業が参加。越境ECは、中国で工場や販売網を整備することなく、中国人消費者に商品を売ることができるため有望な商機となっている。
宅配各社は、年々拡大する貨物量に対応するため、倉庫や輸送能力を強化し、配達スタッフを増員するなど臨戦態勢を整えてきた。しかし、激務で知られる双十一前後の配達業務を嫌がる人が増え、各社の募集は難航。
業務のピークは約2週間で、配達件数は1人あたり1日平均200件と通常時の2~3倍。業務に見合う賃金ではないと判断され、求人に対する応募が極端に少ないという。業界全体で前年より50%以上多い268万人の配達スタッフを動員したと言われるが、増員が需要に追い付かない状態だったようだ。
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