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予想外の「トランプ大統領誕生」に不安を覚えるシリコンバレー - (page 2)

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今後の具体的な焦点

 シリコンバレーとTrumpとが「水と油」の関係にあると思える点はのちに触れるとして、まずは2017年の新政権発足以降に注目を集めそうな焦点を以下に書き出してみる(順不同)。

1. 法人税(海外滞留資金の国内持ち込み)と雇用

 今回の選挙で連邦議会の上下両院も共和党が過半数を押さえたことで、長年の課題となっている法人税改革の話がようやく前進するかもしれない。

 これに関してTrumpは選挙戦中に、法人税を現在の35%から15%にひき下げること、ならびに米国企業が国外に寝かせてある余剰資金を国内に持ち込む際にかかる税金(repatriation tax)について10%で持ち込めるようにすることを公約に掲げていた。後者については一定期間(タックスホリデー)に限るとの条件付きとあるので、実現するとすると2004年の時とほぼ同じやり方になるのかもしれない。

 この海外滞留資金と税金の問題は、8月末に欧州連合(EU)がAppleに対して145億ドルの追加納税を命じたことで久しぶりに注目を集めていた。WSJなどによると米国企業がこうした形で保持している資金の合計額は現在約2兆ドルにのぼるという。各社ともこれまでは米税制の不備を口実に言い逃れできていたが、いったんタックスホリデーのようなものが決まれば、これまでのようにはいかなくなる。Appleのように選挙前からすでに米国内への持ち込みの考えを口にしている企業にとってはプラス材料といえなくもない。同時に、なかにはこの資金を使った国外の企業の買収を積極化させるところも出てくるかもしれない。

 さらに、2004年の時の反省(事前の期待に反して、雇用増加にはほとんどつながらなかったなど)を踏まえて、今度はより具体的な条件が課されるとの可能性も考えられる。つまり、Appleの場合であれば「iPhoneを(中国ではなく)米国内でつくらせる」といった無理難題をTrumpが真顔でふっかけてくる、といったものだ。

 Trumpが選挙戦中に上記の公約を口にした時には、IT関連の話題を扱う各媒体でその無知ぶりが嘲笑されていた――アジアに出来上がったサプライチェーンを再現するのがいかに難しいかなどが指摘されていたはずだ。また「現場レベルの管理者の深刻な不足」をObamaに直接指摘していた生前のSteve Jobsの発言なども思い出される。ただし、そういうことを知っている人たち、たとえばFoxconnあたりの従業員(iPhone組み立て作業員)の月給が300~400ドルにすぎないといったことを知っている人たちが、それでもTrumpに投票したとは考え難い。

 公約を実行しなければ「なぜやらない」という不満になってTrumpに跳ね返ってこよう。またTrumpにしてみれば、そうした不満をそのままAppleにスルーしてしまえばいいとも考えられる(「それだけ儲けていながら、どうしてできない」というふうに)。

 ユーザープライバシーの問題で、米連邦捜査局(FBI)などに対してあれだけ強く反発したTim Cookのことだから、万一そうした無理難題をふっかけらたとしても簡単に妥協したりはしないかもしれない。ただ、輸入品の関税引き上げなど業績に直接影響しそうな材料を持ち出される可能性もあり、その場合はどうなるのかといった疑問は残る。

 雇用創出につながる投資に対して税制優遇を行うというのは筋の通った話だが、それが人件費などのコスト上昇となって跳ね返ってくるとなれば、企業にとっては競争力の低下などにもつながりかねず、経営者としては実に頭の痛い問題であることはほぼ間違いない。

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