Appleは新型MacBook Proを発表した「hello again」イベントの冒頭で、非常に重要なアナウンスをした。それは、「アクセシビリティ」のウェブサイトの立ち上げと、事例の紹介だった。
アクセシビリティは、Mac、iPhone、iPad、Apple TV、そしてApple Watchといったハードウェアと、iOS、macOS Sierra、tvOS、watchOSといったソフトウェア全般に搭載されている機能だ。
それぞれのデバイスとソフトウェアの標準的な機能として、キーボードとマウスやトラックパッド、タッチディスプレイなどを利用できないユーザーに対しても、テクノロジを味方につけることができる使い方を提供している。
Appleは10月27日に英語のウェブサイトを立ち上げているが、11月8日、日本語版のウェブサイトを公開した。
ウェブサイトの中では4人の事例が紹介されているが、筆者はその中の1人、Sady Paulson氏に話を聞くことができた。
Paulson氏は、脳性麻痺(CP)で、体が不自由ながら、MacとFinal Cut Proを使いこなし、ビデオ製作者として活躍している。出来上がった作品からは、Paulson氏の病気のことなど一切わからない。
Paulson氏は、macOSに長年搭載されてきたアクセシビリティ機能の1つであるスイッチコントロールを利用し、車いすの頭の部分の左右に取りつけた2つのスイッチを使いながら、Final Cut Proによるビデオ編集をこなし、文字によるコミュニケーションを実現していた。
「Macに出会ったのは2004年のことで、iMovieによるビデオ編集をしました。スイッチコントロールによるアクセシビリティ機能に触れて、Macは、私の生活において、あらゆるものにアクセスするためのカギになりました」(Paulson氏)。
韓国・ソウル生まれで米国に渡ったSady Paulson氏は、スイッチコントロールに対応するMacと出会い、オンライン大学であるFull Sail Universityのシネマトグラフィーの学位を取得した。MacやiPhoneを通じたオンラインのコミュニケーションに加えて、MacやiPhoneに搭載される「Text to Speech」機能は、声によるその場でのコミュニケーションも実現してくれる。さらに驚いた瞬間もあったという。
「友人や家族がiPhoneやiPadでゲームをやっている様子を見てきましたが、私はドラッグして離す、といった操作を行うことができませんでした。しかし、モバイルデバイス向けのスイッチコントロールが登場し、なんとこの私でも、Angry Birdsで遊べるようになったのです!」(Paulson氏)。
Macだけでなく、iOSデバイスでもスイッチコントロールが利用でき、また書いた文字を読み上げることで、声による会話に参加することもできる。Paulson氏にとって、MacとiPhoneは、文字通り“生活の鍵”となっていた。
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