マイクロソフトの新製品発表に見る、次世代テクノロジ「複合現実=MR」への戦略

Joan E. Solsman (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年10月31日 07時30分

 Microsoftのかけ声は、もはや「Developers! Developers! Developers! 」(開発者!開発者!開発者!)ではなくなった。同社が今呼びかけている相手は、「クリエイター」である。言い換えると、あらゆるユーザーだ。

 米国時間10月26日にニューヨークで開催した2時間のイベントで、Microsoftは「Windows 10」の新バージョンである「Creator Update」、アップデートされた「Surface Book」、そして「Surface Studio」と呼ばれる巨大なオールインワンPCを披露した。しかし、それらの発表に通底する重要なテーマは、ホログラムと仮想世界、3Dの絵文字という未来的な要素を組み合わせた複合現実(MR)への大きな賭けに出たということだ。Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSatya Nadella氏はそれを新たなメディアの誕生と呼んだ。そして、それを具現化するためにユーザーの協力を求めている。

 「芸術家、音楽家、設計者、学生、ゲーマー、さまざまなものを作る人、製作者、つまり創作活動をするあらゆる人、すべての人に、このMRメディアを具現化する取り組みに力を貸してほしい」(Nadella氏)

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Surface Studioは重要な発表だったが、今回のイベントの中心はそれよりもクリエイターを呼び込むことだった
提供:Sarah Tew/CNET

 Microsoftの複合現実の頂点にあるのは「HoloLens」(頭に装着する装置で、デジタル画像を現実世界の上に重ねるもの)だ。しかし、同社がHoloLensをあらゆるユーザーに向けて完全に解放するのは、まだ先のことである。それまでの間、Microsoftは3Dコンテンツを簡単に作れるようにする一連のハードウェアやソフトウェアをユーザーに提供して、土台を固めるつもりだ。

 Jackdaw ResearchのアナリストであるJan Dawson氏は、「Microsoftは、消費者のユースケースを中心とした一連の取り組みを活性化させるきっかけを必要としていた。そして、この動きのキャッチフレーズとして、クリエイティビティを採用したようだ」と述べている。

 Microsoftは仮想現実と拡張現実、ゲーミング、ハードウェアへの取り組みにおいて、Facebook(と同社のOculus VR部門)、Amazonのビデオゲームストリーミングサービス「Twitch」、Appleのコンピュータ群などのライバルに対抗するため、ユーザーの力を借りたいと考えている。

 既に競合他社によって満たされているニーズに対応することで、Microsoftはユーザーを同社独自の3Dの世界に引き込むことに着手する狙いだ。Microsoftの「Surface」製品部門を統括するPanos Panay氏はインタビューで、「重要なのは、(ユーザーに)今これらのアプリケーションを使ってもらうこと、そしてこのプラットフォームを使ってもらうことだ」と語っている。

 ひとたび「Paint 3D」などのプログラムによってユーザーが3Dコンテンツ制作機能を思い通り使えるようになれば、Surface製品とHoloLensがつながるであろうことは、「目を細めて見なくても」分かる、とPanay氏はいう。

 難しいのは、人々にその動きに加わってもらうことである。

Appleに照準

 Microsoftが26日に発表した高価な大型製品がSurface Studioである。これはAppleの「iMac」と直接競合する。

 Surface StudioのApple iMacとの差別化要素となっているのは、ほぼ水平に倒してキャンバスとして利用できるタッチディスプレイ、厚さ1.3mの超薄型スクリーン、そして、Surface Studioのスクリーン上に置くとインタラクティブなコントロール用つまみに変身するしゃれた「Surface Dial」ツールである。

 Surface Studioは熱心なクリエイター向けの夢のマシンとしてカスタム設計されており、Microsoftがメインストリームにしたいと考えている3Dコンテンツ制作に対応し得る処理能力を備える。しかし、「高価」というフレーズがここで重要になってくる。Surface Studioの価格は2999ドルからで、最も安いiMacの約3倍もする。

 Nadella氏は、Microsoftが「この複合現実という新しいメディアをあらゆるユーザーのために一般化する」と声高に主張したが、3000ドル~4200ドルのハードウェアがどれだけ手の届きやすいものなのかは議論の余地がある。

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