コントロール用のつまみであるSurface Dialは、MicrosoftがSurface Studioを複合現実へ導くためための道しるべのような役割を果たす。この厚みのある銀色のダイヤルをスクリーンの上に置くと、さまざまなものをインタラクティブにコントロールできるようになる。このアクセサリは、映画「マイノリティ・リポート」のように、目の前にある複合現実デジタルパネルを操作する未来に備えて、ユーザーを訓練しているような印象を受ける。
米国で11月10日に約100ドルで発売予定のSurface Dialは、スクロール、音量調節、描画ツールの操作、ショートカットへのアクセス、3Dコンテンツ制作の操作などの機能を提供する。
HoloLensはまだ誰もが自由に利用できる状態にはないが、Microsoftは将来の複合現実への布石を披露した。ほかのメーカーのヘッドセットを通してのVR体験、そして、誰もが普通の2次元上で利用できる3Dコンテンツ制作ツール群だ。
「3Dをあらゆる人に」が宣伝文句のWindows 10 Creator Updateは、2017年春に無料でリリースされる予定で、あらゆる端末で画像をキャプチャして、Paint 3Dソフトウェアで加工できる機能を提供する。これは「Photoshop」開発元のAdobeに対する明白な宣戦布告である。複合現実のデモで、Microsoftのチームのメンバーたちは、スマートフォンを使って砂の城をスキャンし、保存したデジタル3Dコピーを回転させたり、引き延ばしたり、海辺の風景に挿入したりする方法を披露した。Paint 3Dでカスタムの絵文字を作成して、人々が写った通常の写真にその絵文字を挿入し、3D風の奥行きを出すこともできる。
またPaint 3Dは、「Minecraft」向けに作られたオブジェクトのような、オリジナル3Dコンテンツのリポジトリを構築するオンライン共有コミュニティーのRemix3D.comとつながっている。
Creators Updateは、ゲーム実況サービス「Beam」とも連携する。BeamはAmazonの巨大なTwitchサービスと競合する。ゲームプレイをストリーミングして、ほかのユーザーが視聴できるようにするBeamは、ソーシャル機能とインタラクティブチャットも備えており、視聴者が次の動きを提案することができる。また、Microsoftは「Arena on Xbox Live」を使ってカスタムのe-Sportsトーナメントを作成できる機能を発表した。この機能は、ゲームプレイの追跡や勝利者の発表といった運営的な仕事を担ってくれる。これらはいずれも複合現実が集結する場所でのリモートゲームプレイに向けた布石だ。
Microsoftはまだ自社製の仮想現実ヘッドセットを発売していないので、HPやDell、Lenovo、ASUS、Acerなどのパートナーを頼って、Windowsプラットフォームに対応するヘッドセットを開発してもらっている。これは、Facebookの「Oculus」、HTCの「Vive」、ソニーの「Playstation VR」などの戦略とは対照的な動きだ。これらの企業はヘッドセット市場を支配するメーカーとなるべく、熾烈な競争を繰り広げている。また、「Oculus Rift」(600ドル)やHTC Vive(799ドル)と違って、Windows対応のヘッドセットは299ドルからと低価格になっている。
スマートフォンの技術革新が先細りになる中で、テクノロジ大手各社は次の10年に市場を支配する技術について、自らのビジョンを提示している。Googleは音声操作と人工知能、Facebookは仮想現実が次に来ると主張している。Appleはまだ結論を出していないが、競合他社が何か突出したものを提供しているのを見つけたら、すばやくその分野に入り込んでその技術に磨きをかけようとするだろう。
Microsoftは複合現実が未来のテクノロジだと信じている。そして、Nadella氏が述べたように、「このチャンスをとらえて、複合現実を具現化するのは、クリエイターたちの役目」なのである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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