問題なのはそれだけではない。プリ画像には、芸能人写真が多数投稿されている。元AKB48の前田敦子さんの画像は9万枚以上、ももいろクローバーZは6万枚以上、EXILE TRIBEは4万7000枚以上など、実に多くの写真が投稿されているのだ。言うまでもないが、このような行為は肖像権の侵害に当たる。
リアルタイム検索で「プリ画像」で検索すると、「著作権侵害された」などと書かれた投稿が複数見つかる。「他のところで見た画像が『再配布禁止』『加工禁止』とつけられて投稿されてるんだけど」などというツイートも多い。
では「再配布禁止」タグがついていたら著作権に配慮してあるかというと、まったくそうではない。むしろ、「再配布禁止」タグは芸能人写真が多数見つかる状態だ。そもそも肖像権を侵害しているにも関わらず、自分が加工した、あるいは自分が見つけた画像だから、他人には再配布してほしくないということのようだ。これが中高生の考える画像に対する権利意識の限界なのだ。
「Yahoo!知恵袋」などで「プリ画像」を検索すると、著作権や肖像権についてまったく分かっていないことがさらに明らかになる。
Q「AAAの写真をプロフ画にしてはいけないとあるけど、プリ画像だけなの?」
Q「プリ画像の写真を加工してネットにアップすることは違法ですか?」
…
もはやネタなのかもしれないが、このようなQ&Aを見かけた。
Q「プリ画像の画像を使いたいのですが、著作権は大丈夫ですか?」
A「まったく問題ありません。みんなに使ってもらいたくて画像を投稿しているのです」
しかし、これが多くの10代の著作権や肖像権に対する意識と考えて間違いないだろう。思った以上に理解していないというのが実情だ。
10代の著作権・肖像権に関する知識やリスクに対する意識はまだまだ低い。大ヒット映画「君の名は。」製作委員会著作権担当のTwitterアカウント(@kiminona_rights)が違法アップロード動画を注意したところ、逆ギレする若いユーザーが多数いた。
そもそも著作権について知りもしないし、気にもとめていないユーザーたちだ。これはごく一部のことではなく、若者の中で一定数を占めている。しかし、著作権や肖像権について知らないまま、あるいは無頓着なまま大人になってもいいものだろうか。
それだけではなく、将来への影響を考えずにキス写真を投稿したり、1日中LINEに時間を浪費している若者の姿が見えてくるだろう。これはプリ画像だけの話ではない。
若者に人気のアプリを見ると、子どもたちが何に関心がありどのような問題が起きるかがわかるので、保護者は一度覗いてみてほしい。そして、今どのようなことが問題となっているのか、将来にどのような危惧があるのかを考えてほしい。当連載はそのような問題とヒントをお伝えしているので、ぜひ参考にしていただければ幸いだ。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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