スマートフォンネイティブが見ている世界

「暇つぶし」でカップル動画を撮る--リスクが見えない10代 - (page 2)

 Facebook、Instagramが浸透してから、保護者によるSNSへの子どもの顔写真投稿が身近になった。周囲のほとんどが投稿している状態のため、公開への心理的抵抗が下がっているようだ。また、スマートフォンネイティブ、ソーシャルメディアネイティブ世代の保護者には、そもそも公開に抵抗を感じたことがないという人もいる。

 保護者が自己責任で子どもの顔写真を公開したり、公開範囲を友だち限定などにして公開することには問題は少ないだろう。しかし、名前や在籍している幼稚園・小学校まで公開することは問題ないのかどうか。子どもに及ぶリスクについて甘く見すぎていると言わざるをえない。

 保護者が子どもの写真を扱う場合は、ママとなった芸能人ブログ、SNSが非常に参考になる。顔がわからないように撮影したり、居住地や在籍している幼稚園・小学校がわからないようにしつつ上手に写真を公開しているので、参考にするといいだろう。

公開に慣れてもリスクは減らない

 mixiの頃は多くのユーザーが匿名で登録していた。Twitterでも同様だった。しかし、Facebookは個人情報を登録、公開を求めるサービスであり、当初抵抗を感じている人が多かったものの、もはや「Facebookで実名を登録するなんて」と抵抗している人の方が少数派のように感じる。

 我々はSNSで実名を公開することに慣らされてしまったのだ。大人世代でさえそうなのだから、物心つく頃からそのようなサービスに慣れてきた10代、20代が公開に抵抗がないのはある意味当たり前のことだ。

 前回ご紹介した「ノートン オンラインセキュリティ消費者意識調査」(2016年9月)を見るまでもなく、全体の8割以上が何らかのSNSを利用しており、約6割が何らかの個人情報を公開している。これは15~69歳まで全体の数字であり、10代後半~20代女性はもっとも個人情報を多く公開していることが分かっている。

 SNSが浸透するにつれて、人々の「SNSに公開してもいいと思う範囲」が緩くなってきている。実際に多くの世代がSNSにさまざまな個人情報を公開しており、逆に眉をひそめる人が減っている。

 しかし、公開が当たり前になってきても、それによってリスクが減ったわけではない。公開されている情報を使って女子高生がストーカーされた事件も起きているし、炎上が起きたときに公開情報をかき集めて個人情報まとめページが作られる事例が増えている。就活の際に公開した情報が、不利に働いた例も耳にしている。

 誰もが公開しているからといって安易に公開してもいいわけではない。一度公開した情報は取り戻せないことが多いので、公開しても今後も問題ない情報かどうかよく考えてから公開するようにしたい。

 特に10代は先のことを考えずに公開してしまうことが多いので、公の場に出すべき情報か否かを判断できるよう保護者がアドバイスすることも必要だろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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