総務省の「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(2015年3月)によると、20代以下の若者たちがSNSを実名で使う割合はそれぞれ、「Facebook」が41.0%(匿名利用は8.3%。以下同様)、「Twitter」が9.5%(43.3%)、「Instagram」が5.5%(10.5%)、「mixi」が5.5%(22.0%)、「LINE」が42.0%(20.8%)などとなっている。
若年齢層は他の年代と比べると、SNSを実名で使う割合が極めて高いのだ。大人世代にもSNSを実名で使う人は一定数いるが、士業など実名を出して使うほうがメリットがあったり、メリットに比べてデメリットが少ないと思われる人がメインだ。当然、発言内容にも配慮していることが多い。
ところが、10代など若年齢層は、実名登録の割合が高い一方で、発言内容には配慮しない傾向にあるため、問題が起きやすくなる。若年齢層のSNSの実名利用におけるリスクと対策を考えていこう。
Facebookは実名制のSNSであり、最近になって通称でも利用できるように緩和されたものの、以前は実名でなかったり、疑われる名前で利用したりしている場合には、アカウントの強制停止なども起きていた。それゆえ実名率が高く、炎上が少ない傾向にある。
一方、Twitterは匿名性が高く、趣味や関心に従って直接の知り合い以外とも交流するSNSとして知られている。ところが、このTwitterでも10代の子たちは実名で使う割合が高いのだ。
高校1年生女子A子は、Twitterを始めとしてSNSではローマ字で実名登録している。「元々顔写真も出しているし、あえてニックネームにする意味がわからない」とA子は言う。「ニックネームなんかにしたら友だちに見つけてもらいづらいし、つながりづらい」。10代の子たちはSNSを仲間内でのコミュニケーションに使うことが多い。SNSはリアルコミュニケーションの延長線上にあるため、実名のほうが都合が良いということだろう。
大学1年生女子B菜は、Twitterを使う際に匿名など考えたこともないという。実名で大学名も登録して利用しており、1日に軽く100件以上のツイートをしている自らも認めるヘビーユーザーだ。誰に読んでもらいたいわけでもないほぼひとりごとのようなことを日々投稿している。中には「1限サボっちゃった」など、実名で投稿してもいいものかどうか心配になるようなことも書いてしまっている。
先の調査では、LINEも実名利用の割合が高かった。通常の大人のように、お互いにメールアドレスや電話番号を知っている直接の知り合い同士がつながるなら問題はない。
高校2年生女子C美は、Twitterでは見知らぬ相手とも趣味の話題をやりとりすることが多い。盛り上がったら「続きはLINEで」となることも多く、見知らぬ相手ともLINEでつながっているという。事実上、実名や学校名などは外部に筒抜けとなっているというわけだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」