仏Parrotがこのほど発売した「Disco」は、最高時速80km、最長飛行時間45分をうたう新型固定翼ドローンだ。Parrotといえば、クアッドコプタードローン「Bebop」が代表モデルだったが、最近は固定翼ミニドローン「Parrot Swing」や変形ドローン「Parrot Mambo」を発表するなど、アグレッシブに多角化している。
多角化の一端を担っているDiscoには先端技術が詰め込まれており、初心者でも安定した飛行が可能だという。筆者は運良くParrot Discoを飛ばす機会を得ることができたので、Discoの特筆すべき点と注意点をまとめてみた。
※撮影場所はシンガポール。飛行高度、飛行エリアなどシンガポールの法令を遵守しフライトを実施。また地元専門家(Sky Hobbies Singapore、デリック・タン氏)にも同行してもらい安全性を配慮した。
「ジブリ映画『風の谷のナウシカ』に出てくるメーヴェに乗って飛ぶ感覚というのはこういうことなのか」――。DIscoを初めて飛ばしてみて感じた印象だ。クアッドコプターでは味わえない、風を使ってフワッと浮かぶ固定翼ならではの感覚なのだろう。操作もそれほど難しくなく、直感的なコントロールが可能だ。
Return Home機能もついているので、万が一目視外に飛んでいっても、自動で戻すことができる。また、飛行距離、高度なども制限をかけられるので、国や自治体のルールに沿って安全に飛行させることができるのも嬉しいところだ。
ただし、クアッドコプタータイプのドローンも飛ばしたことがないという人が、いきなり固定翼のドローンを1人で飛ばすのは若干ハードルが高いかもしれない。まずはおもちゃのミニドローンを使い、目視でどんな方向でも思いのままに飛ばせるまで練習することで、Discoも操縦できるようになるはずだ。
また、常に経験者に付き添ってもらいながら飛ばすのがよいだろう。筆者も固定翼ドローンの経験者に付き添ってもらいながら飛行させた。クアッドコプターにはない固定翼独特の動作について適切なアドバイスをもらいながら、多くのことが学べる。
固定翼タイプとクアッドコプタータイプの大きな違いの1つに重量が挙げられる。
Discoは発泡ポリプロピレン(EPP)とカーボンチューブが使用されており、重量は750gととても軽い。Phantomなど広く普及している空撮用クアッドコプターが1.2~1.4kg。重さはそれらの約半分だ。ただし、固定翼なので面積はクアッドコプターに比べて大きくなってしまう。ボックスは大きいが軽いので、持ち運びはそれほど苦ではないだろう。
さて、飛ばすための準備として、まずバッテリとコントローラーを充電する。また、事前にiOSかAndroidにParrotのドローン操作アプリ「FreeFlight Pro」(iOS/Android)をダウンロードしておこう。
充電が完了したら、建物や障害物がない広い場所に行き、Discoを組み立てる。ボックスのなかには本体と翼パーツが入っているので、それらをつなぎ合わせる。
組み立てられたら、本体上部のカバーを取り外しバッテリを装着。そして、本体前方上部にある電源を押してパワーオンにする。
コントローラーも中央部にあるボタンを押してパワーオンにする。
次にスマホ/タブレットにインストールされたアプリを起動させ、専用ケーブルでスマホ/タブレットとコントローラーをつなげ、アプリでWi-Fi設定を開きDiscoとリンクさせる。これでアプリ上でDiscoのさまざまな設定が可能になる。
デフォルト設定ですぐに飛ばすことができるが、初めて飛ばす場合は飛行距離と高度を低く設定することをおすすめする。以下は、今回筆者が実際に飛ばしたときの設定。それぞれを最小値に下げている。
設定が完了がしたらいよいよ飛行だ。コントローラー中央部の電源ボタンの下にあるボタンを押すと飛行開始。3秒ほどでプロペラが回りだすので、本体部分をつかみ、「フリスビー」を投げる要領でドローンを投げる。
すると設定した半径で自動旋回を開始する。そこから操縦が可能になる。
コントローラーのデフォルト設定ではモード2になっている。左スティックの上下がプロペラ出力、左右が水平旋回。右スティックの上下が上昇下降、左右が旋回。クアッドコプターの操縦に慣れている場合は、飛ばしながらすぐに感覚をつかめるはずだ。
まずは目視で上昇下降、左右旋回を練習し、慣れてきたらFPV(1人称視点)での操縦に切り替える。VRヘッドマウントも使用できるが、これはさらに慣れてきた段階で導入したい。
着陸するときは、着陸ポイントを中心に旋回しながら高度を下げ、アプリに表示されているLandingボタンをタップし、モーターを止めて着地させる。着陸時には風の影響でオーバーランすることも想定し、広いスペースに着陸させるようにしたい。
Discoが本領を発揮するのは、PR動画にあるような荒野など広大なスペース。海辺や山で飛ばすのも心地よいはずだ。HDライブ映像を通して実現する本当に飛んでいるかのような感覚はクセになる。
飛行テクノロジだけでなく映像通信技術の発展で、ますます身近に、そしてイマーシブになっていく飛行体験。Discoはそのトレンドの象徴と言っていいだろう。
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