Wi-Fiで50台のiPadに映像を同時配信できる「Wi-Fi Sync Viewer」--教育現場で活用へ

 テクノマセマティカルは10月4日、屋内の同じ場所にある最大50台のiPadに映像やプレゼンテーションなどを同時配信することができるデータ配信伝送装置「Wi-Fi Sync Viewer」を10月初旬に発売すると発表した。学校などの教育分野、企業のセミナーや講演会、公共団体の議会や会議、ブライダル分野での活用を想定しているという。

テクノマセマティカルが発表したデータ配信伝送装置「Wi-Fi Sync Viewer」
テクノマセマティカルが発表したデータ配信伝送装置「Wi-Fi Sync Viewer」

 Wi-Fi Sync Viewerは、同社が数学的手法を用いて研究開発したというデータ圧縮のアルゴリズムDMNA(Digital Media New Algorithm)を取り入れたエンコーダを搭載。高圧縮でデータ送信が可能になったことで、フルHD画質の映像を配信した場合、1つのアクセスポイントに50台が同時につながるという低帯域下でも、画質を損なうことなくディレイタイム約0.5秒という低遅延で映像配信が可能としている。

 テクノマセマティカル代表取締役社長で東京大学客員教授(工学博士)の田中正文氏によると、従来のWi-Fi環境でH.264、Motion JPEG、HEVCといった圧縮方式で大容量の映像データを50台に配信すると、1台あたりに割り当てられる通信帯域が極端に少なくなってしまい、画質維持が困難になるとのこと。

 同社はこれまで国内外の放送局向けに低遅延IP伝送装置を提供したり、8K HEVCリアルタイムデコーダを開発したりするなど、映像・音響分野のソフトウェア・ハードウェアを手がけており、そのノウハウをもとに製品を開発したとしている。

Wi-Fi Sync Viewerの接続イメージ
Wi-Fi Sync Viewerの接続イメージ

 入力インターフェースはHDMIを2系統搭載し、PCやカメラなどをケーブルで接続して切り替えも可能。電源を入れるとWi-Fi Sync Viewer自身がアクセスポイントとなり、iPadからアクセスポイントに接続して専用アプリを使用することで、映像を視聴できるようになる。

 ITリテラシーが高くない教育現場での使用を想定して、機器を接続して電源を入れれば使用できるよう、シンプルな作りにしているという。また、Wi-Fiは電波干渉によって授業中、講演中に配信トラブルが起きることを避けるために、5GHz周波数帯のIEEE 802.11aを使用しているとのこと。

インターフェースはHDMI端子とボタンだけというシンプルな作り
インターフェースはHDMI端子とボタンだけというシンプルな作り

 製品の狙いについて、同社第五開発部長の鈴木秦男氏は、「教育の現場から、“クラスの全員が同時に映像を視聴できる仕組みが欲しい”というニーズを受けて開発した。文部科学省は教育現場におけるICTの活用を推進しているが、デジタル専用の教材コンテンツが必要になるなどの事情があり実際の活用は進んでいない。Wi-Fi Sync Viewerによって、教員のPCの中にある既存の教材コンテンツを有効に活用できるのではないか」と説明。

 製品開発にあたっては、理科の授業で、教壇で行われる実験の模様をカメラで撮影しながら、Wi-Fi Sync Viewerを通じて生徒が視聴するなど、実際に教育現場で試験的に導入して有用性を検証してきたという。

発表会ではプレゼンテーションの内容がiPadに同時配信された
発表会ではプレゼンテーションの内容がiPadに同時配信された

 製品は同時接続できる台数で10台用、30台用、50台用と3モデルが用意され、50台用の導入価格は150万円から。映像を視聴するiPad用アプリは第2世代以降のiPadとiPad Air、iPad Pro、iPad miniの全モデルに対応し、AppStoreからダウンロードできる。年間300台以上の導入を目標にしており、海外向けの販売も予定しているという。

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