エンハンス・ゲームズが10月13日から配信予定の、PlayStation VR(PS VR)に対応するPS4用ソフト「Rez Infinite」。2001年にPS2やドリームキャスト向けに発売された3Dシューティングゲーム「Rez」のリマスター版となるタイトルだ。国内向けにはダウンロード専用ソフトとして、税込3400円で配信する。
Rezは電脳空間を舞台に、ウイルスなどをロックオンしながら破壊していくシューティングゲーム。特徴として音楽と映像にシンクロして、音楽を奏でているような一体感を味わうことができる気持ちよさがあげられる。
Rez Infiniteは、基本的なゲーム内容はオリジナル版とは変わらないものの、ハイエンドマシンに最適化したRezを遊ぶことができる。また4KやHDRにも対応し、ハードやモニタなど環境が整えばよりクオリティの高いRezが楽しめる。さらには最新技術を駆使し、今の時代だからこそ表現できるRezを標ぼうして制作された新ステージ「Area X」を追加している。
Rez Infinite、そしてArea Xの開発経緯やのエピソードなどを、エンハンス・ゲームズ代表の水口哲也氏に、またArea Xに関してはアートディレクターの石原孝士氏も加わり話を聞いた。水口氏はセガ在籍時にRezや「スペースチャンネル5」などを手がけたゲームクリエーター。エンハンス・ゲームズは水口氏が米国で立ち上げた、VR専門の事業会社となっている。
水口氏:そうですね。最新技術を使ってRezを拡張するという考えは以前からありました。2001年に発売したオリジナル版を考えていたときから、頭の中には今のVRに近いイメージを持っていたんです。でも最終的には四角い画面に押し込めるという制約があって、その制約が取っ払われるようなことがあるなら、真っ先に飛び込もうと。構想はずっと持っていて、それをできるタイミングがやっときた感じですね。
VRデバイスで、なおかつ新しい技術でRezを作ってみたらどうなるか、ということはもちろんスタートとしてあるのですが、次の未来の作品に向けたプロローグのような、そういうタイトルになりました。
水口氏:僕は学生時代からVRに関するリサーチを行っていました。セガに入ったあともVR関連のリサーチをして、バーチャリティ2000というアーケードVRシステムを作った英国の会社とのリサーチプロジェクトにも関わっていたことがありました。1991~92年あたりは、どうやったらアーケードゲームとしてVRを取り込めるかを考えてましたね。でも、うまくいかなかった。解像度も足りないしセンサの精度もあまりよくなくて、気持ちのいいものにならなかった。やっと今の時代になって、気持ちのいいコンテンツが実現できるデバイスが出てきました。
水口氏:オリジナル版を当時のプレイステーションパーティでお披露目したときのことなんですけど、どうやったらこの魅力が伝わるかを直前まで考えて、思いつきで頭を真っ白に染めて登場して(笑)、大画面でプレイして何も言わずに去って行くということをしたんです。言葉で何かを説明するより、それで何かを感じてくれる方がいれば伝わるだろうと。当時は3対4の四角い画面で遊ぶタイトルでしたけど、リリースして面白さを感じてくれた人たちがたくさんいました。
15年が経過して、僕らはすごい技術に恵まれたと感じています。これでより良いRezの体験を提供できるということだけではなく、VRとArea Xによって拡張できると。作っている僕らが興奮して「本当にすごい」と感じていますし、シナスタジア(共感覚)と言っている感覚が、VRによってすごく伝わるというか、訴えかけるものがあります。伝える難しさはありますが、ちゃんと届いていくと思います。
水口氏:自分が業界に入って26年目になるんですけど、本当に興奮してますし、楽しいんですよ。過去最高、最強ともいえるぐらい。ゲームを作るのは技術の進化からひらめくインスピレーションによって、新しいクリエイティブが生まれてくるものですから。
水口氏:やはり3Dの箱をのぞいている間隔で、結局フレームという制約から抜け出せないものだったんです。VRはそのフレームが取っ払われたもので、どこを見ても世界として存在しているというのは、これまでとは違う点です。映像メディアに関してはフレームという枠が取っ払われた時代はありませんから。
ただ、過去に「child of eden」というタイトルで3Dテレビに対応しました。そのときの経験が、VRにおける3D表現手法に生かされているところもあります。実験を繰り返したからこそ、自分たちがここにいられるのかなと思います。3Dテレビは普及するに至らなかったですが、技術進化の過程においては必要なものだったのかもしれません。
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