KDDIは9月26日、アクセラレータプログラム「KDDI ∞ Labo」の第10期デモデイを開催した。最優秀賞であるKDDI ∞ Labo賞には、荷物を運んでほしい荷主と配送ドライバーをマッチングする「軽 town」が、また来場者による投票で決まるオーディエンス賞には、センサを使って落とし物を防ぐIoTタグ「MAMORIO」が輝いた。
第10期では、インキュベーションプログラムからアクセラレータプログラムへと運営方針を変更し、IoTやAR/VR、農業、宇宙事業などの分野の9チームを採択していた。
ここからは、第10期に参加した9チームのサービスや製品を紹介する。
KDDI ∞ Labo賞を受賞した「軽 town(ケイタウン)」は、荷物を運んでほしい荷主企業と、実際に荷物を運ぶドライバーをマッチングする配車サービスだ。依頼主は希望日と配送ルートを設定して情報を送る。一方のドライバーは希望価格を設定してエントリーする。依頼主は、希望価格や評価をみて依頼するドライバーを選ぶという流れだ。
このサービスによって、荷主は配送時間を短縮できるほか、配送コストを下げられるとしている。また、下請け構造にともなう中間マージンがなくなることで、ドライバーの給与水準が上がり、ドライバー不足の解消にもつなげられるとしている。
オーディエンス賞を受賞した「MAMORIO(マモリオ)」は、小型の落し物防止IoTタグ。ユーザーは、このタグとスマートフォンをペアリングして、大切なものに取りつけておくと、手元から離れた際にスマートフォンに通知が送られ、紛失した場所をアプリの地図で確認できる。また、MAMORIOのアプリを利用するユーザー同士で落し物を探すクラウドトラッキング機能も搭載。他のユーザーが紛失したMAMORIOとすれ違ったとき、自動的にその場所を持ち主に知らせるという。
「Voicy(ボイシー)」は、テキストメディアと音声を組み合わせたスマートフォン放送局。9月23日にベータ版を公開した。ユーザーは、許諾が得られた新聞や雑誌、ウェブサイトの記事を自分で選び、読み上げて録音し配信できる。たとえば、阪神タイガースファンが関西弁で解説する巨人戦のニュースを聴いたり、寝起きのような優しい声で読み上げたニュースなどを聴くことができる。
「Spoch(スポック)」は、スポーツの動画の中に手書きの字幕を入れたり、図形を埋め込んだりして、トレーニングや試合の内容を分析できるコミュニケーションアプリだ。クローズドSNSになっており、チームメンバーのみが閲覧できる。また、動画にはシーンごとにタグ付けできるため、たとえばサッカーの試合のシュートのタイミングのみ検索して視聴するといったことも可能。
9月26日にサービスを開始したが、事前提供では27種目128団体から引き合いがあったという。このサービスを指導者不足の解消や、優れた選手の発掘などに生かしていきたいとしている。
「RoomCo(ルムコ)」は、スマートフォンのカメラ越しに、家具を自宅に配置してシミュレーションできるアプリ。無印良品やFrancfrancなど国内ブランドの約30万点のインテリア3Dデータが収録されており、色やサイズを変えたり、配置した家具を回転させたりできる。気に入った商品はそのまま購入できる。ARシールを貼ることで図面上に3Dの家具データを配置する機能も搭載した。VRヘッドセットと組み合わせて、立体で確認することもできる。
「isaax(アイザックス)」は、企業や個人を問わず誰でも簡単にIoT開発を始められるサービス。同社によれば、IoTの実証実験には多大なコストがかかるが、そのうちの6割がソフト開発の費用となっている。また、IoT開発には「開発環境」「クラウド」「デバイス」の3つが必要になるが、現在提供されているIoT開発支援サービスの多くは、クラウド領域のみとなっているそうだ。
そこで、同社ではこの3つをトータルで提供するという。具体的にはCLI(Command Line Interface)ツールを使って、web app PaaSのように簡単にプロジェクトを作って運用できるほか、監視、運用、テンプレートの生成、プロジェクトの登録をCLIツールだけで完了できるという。さらに、ワンコマンドで複数のデバイスのアプリをアップデートできるとしている。
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