物流版Uber、落し物を防ぐIoTタグも--「KDDI ∞ Labo」第10期の受賞チームが決定 - (page 2)

スマート水田サービス「paditch」

「paditch」
「paditch」

 「paditch(パディッチ)」は、田植えから収穫までの水管理にフォーカスした農家向けのIoT製品。水稲農家は、大規模な田んぼを長い時間かけて移動しながら水の管理をしており、大きな負担となっているという。paditchではスマートフォンから遠隔で、水位を調節できるほか、時間を指定して開閉を設定することも可能。もぐらやネズミの被害などをアラート通知する機能も備える。今後は、ドローンなどと組み合わせ、得られたデータを収穫時期の予測などに活用する予定。

走りたくなる道を探せる「ラントリップ」

「ラントリップ」
「ラントリップ」

 「ラントリップ」は、エリアや路面の種類、起伏の有無、発着点にシャワーや荷物置き場があるかなどの条件から、簡単にランニングコースを探せるサービス。自身が普段走っているお気に入りのコースを投稿し、世界中にシェアすることもできる。また、会員は提携する店舗の割引などが受けられる。今後は、同じコースに行きたいと思っている他のユーザーと一緒に走れる機能や、ランニングステーションや銭湯、飲食店、温泉旅館などランナーフレンドリーな店舗が見つかる機能を提供する予定だ。

超小型衛星で世界を観測する「AxelGlobe」

「AxelGlobe」
「AxelGlobe」

 「AxelGlobe(アクセルローブ)」は、50機の超小型衛星を軌道上に打ち上げ、世界中を毎日観測できるインフラを構築。顧客からの撮影リクエストを受けなくても常に全世界の画像を撮影し、顧客に対しては画像ではなく分析結果を情報として提供することで、衛星画像ビジネスを根本から変えるとしている。

 たとえば、広大な農地の施肥管理や刈取時期特定、スーパーマーケットの新規出店候補地の絞り込み、パイプラインの常時監視などの活用を見込んでいるという。また、衛星画像データベースにアクセスするためのインターフェースを公開し、企業が自社サービスに衛星画像データを活用できるようにするとしている。

大阪発の訪日外国人向けSIM「Traveltech」

「Traveltech」
「Traveltech」

 第10期のデモデイでは、大阪のスタートアップであるTraveltechも特別枠として登場。同社は、訪日外国人旅行者向けプリペイドSIMカードサービス「Traveltech SIM」を展開している。現在は台湾と香港向けに販売しており、価格は14日間で通信量500Mバイトが2580円、1Gバイトが3580円、3Gバイトが5980円となる。

 また、外国人旅行者が近隣の店舗の情報を閲覧し、店舗で直接QRコードを読み取ると、通信量が増える「Traveltech Spot」も提供している。旅行者を呼び込みたい店舗は、広告サービス「Traveltech Ad」によって、有料で通信量を付与することができるという。今後は、SIMカードの無料化や公衆無線LAN連携なども予定しているという。

第11期のプログラムを発表

 KDDI ∞ Laboは第9期までスタートアップの“創業”を支援してきたが、第10期からは“創業後の成長”を支援するアクセラレータプログラムへとシフトした。その結果、多くの連携が生まれているという。たとえば、ラントリップは近畿日本ツーリストとともに、ランニング旅行プランを共同開発。また、MAMORIOとKDDI、au損害保険は、紛失に関する保険商品開発において事業連携している。

スタートアップと大手企業の間で多くの連携が生まれている
スタートアップと大手企業の間で多くの連携が生まれている

 第10期では、参加チームとKDDI・「パートナー連合プログラム」参加企業による事業化に向けた実証実験は9件、事業連携は3件生まれたそうだ。KDDI代表取締役執行役員副社長の髙橋誠氏は、「(KDDI ∞ Labo発の)事業化にむけた具体的な取り組みについて一歩進んだ」と手応えを語る。

 第11期では、第10期に参加した、紛失防止IoTタグ「MAMORIO」、超小型衛星の「AxelGlobe」、スマート水田の「paditch」、IoT開発の「isaax」の4チームと事業化を促進する。具体的には、MAMORIOとはto B IoTへの進出、AxelGlobeとは衛星ビジネスの拡大、paditchとはスマート水田の事業化、isaaxとは開発者向けPF連携を目指すという。

 また、米国サンフランシスコに続く2つ目となる海外拠点を2016年10月より韓国ソウルに開設。今後、日本の経済産業省にあたる産業通信資源部傘下の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)や、グローバル・ブレインと連携して、韓国スタートアップの成長支援や事業提携を目指す。その第1弾として、秋ごろに日本でイベントを開催する予定で、すでに韓国のスタートアップ100社以上が参加の意向を示しているという。今後は参加チームを5~8ほどに絞る予定。

韓国のスタートアップの支援も開始
韓国のスタートアップの支援も開始

 さらに、スタートアップを支援する「パートナー連合プログラム」に、ジュピターテレコム(J:COM)、全国農業協同組合連合会(JA全農)、ソニー・ミュージックエンタテインメント、電通の4社が新たに参画することも発表された。KDDI含め34社が持つアセットやノウハウを活用して、スタートアップとの事業連携や成長支援をするとしている。

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