ハイレゾ音源再生モデルの登場以来、ソニーでは、ハイエンド対応の「WALKMAN ZX」シリーズや、ポータブルアンプ、高級ヘッドホンなど、数々のハイエンドポータブルオーディオを発売してきた。2016年は、それらをシリーズ化した「Signature Series(シグネチュアシリーズ)」を発表。ヘッドホンによる音楽体験を突き詰めた、新モデルを発表する。
Signature Seriesは、オーケストラの響きやライブの熱量など、その場の空気感を再現することを目的に開発。ヘッドホン「MDR-Z1R」、据え置き型ヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」、デジタルオーディオプレーヤー「WALKMAN NW-WM1Z/WM1A」の計4機種をラインアップする。
MDR-Z1Rは、大口径70mmのドライバユニットを搭載した密閉ダイナミック型ヘッドホンだ。ドーム部に薄膜のマグネシウム、エッジ部にアルミニウムと、異なる素材を採用することで、ボイスコイルで発生した振動を効率よく伝達し、120kHzの超高域再生を実現する。
ドライバユニットのグリルには、桟を細くし、開口部を広くとった、曲線のグリルパターンを新たに開発。形はフィボナッチ数列を参考にしており、空気の伝搬を阻害せず、なめらかな超高域再生をサポートする。
ハウジング部分にもこだわった。ハウジングフレーム、音響レジスター、ハウジングプロテクターの3層構造で、音響レジスターを全面に使用することで、通気量をコントロールし、密閉型ヘッドホン装着時に生じる共鳴を限りなく除去。ハイレゾ音源に含まれる微小音までも再現できるとしている。
組み立てはモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」などプロ用機器の製造を手掛ける日本の工場が担当。すべて手作業で行われ、本体にはシリアルナンバーを刻印する。
重量は約385g。ケーブル長は約3m。4.4mmプラグに対応したバランス接続ヘッドホンケーブル約1.2mが付属する。発売日は10月29日。想定税別価格は20万円前後になる。
TA-ZH1ESは、据え置き型でバランス駆動、出力ができるヘッドホンアンプだ。新開発の「D.A.ハイブリッドアンプ」は、デジタルアンプとアナログアンプを組み合わせた増幅方式を採用した世界初の仕様。フルデジタルの情報量、解像度はそのままに、アナログ回路を用いた信号補正をすることで、歪みやノイズを低減することに成功した。
すべてのPCM音源をDSD 11.2MHzに変換して再生できる「DSDRemastering Engine」を搭載したほか、圧縮音源などをハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングする「DSEE HX」は、サンプリング周波数を384kHz/32bitに拡大。「Standard」「Female Vocal」「Male Vocal」「Percussion」「Strings」の5つのモードも備える。
サイズは、高さ65mm×幅210mm×奥行き367mmで、重量約4.4kg。バランス標準(直径4.4mm)、3極ミニ(バランス接続、直径3.5mm)×2、XLR4(バランス型4ピン)、6.3mm標準、3.5mmステレオミニ端子を装備。変換プラグを使わず、主要なヘッドホン接続をカバーする。このほか、WALKMAN/Xperia、USB-B、同軸デジタル、光デジタル入力端子も装備している。
今回の開発にあたっては、アンプやデジタルオーディオの担当者だけではなく、ヘッドホンの担当者とも協力して作り上げたとのことだ。発売は11月。税別価格は27万8000円になる。
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