「Pokemon GO」の人気でますます注目される歩きスマホ。いけないと思いつつ、ついやってしまう人も多いだろう。公共の場所などで、明らかにPokemon GOを対象としたとみられる注意書きを多く目にするようになった。
電気通信事業者協会(TCA)の「歩きスマホ」に関する調査(2015年1月)によると、「歩きスマホをしたことがあるか」という質問に対して、「日常的にやっている」は10代で20.0%と全体平均の2倍となっている。「時々やっている」は10代で42%、20代で46%、30代で45%となっており、10代をピークに10~30代の6割前後で歩きスマホが習慣化していることがわかる。
なお、性別年代別で見ても、女性10代は「日常的にやっている」「時々やっている」の合計が70%でワースト1位。続いて女性20 代が66%、女性30代が62%、男性10代・20代が54%と、男性よりは女性が多く、年齢が若ければ若いほど歩きスマホ率が高くなっている。
未成年の歩きスマホの実態と危険性、防ぐためにできることを考えていきたい。
歩きスマホによって、若年齢層においてたくさんの事故が起きている。2014年10月には、地下鉄鶴舞線御器所駅で中学1年生男子(13)が線路に転落。中学生はホーム下の空間に逃げ込み、からくも無事だった。中学生は、「スマートフォンを操作していて落ちてしまった」と言っている。
5月には、りんかい線天王洲アイル駅で20代の女子大学生がホームから転落し、電車にはねられて亡くなった。スマホの画面を見ながらホームを横切るように歩いており、耳にはイヤホンをつけていたという。
6月にも、江ノ島線鵠沼海岸駅で高校3年生女子(17)が入ってきた列車と接触し、頭などをうち軽いけがをした。防犯カメラの映像や目撃者の話から、スマートフォンを操作しながら歩いていたとみられている。
歩きスマホの実証研究に取り組む愛知工科大学の小塚一宏教授によると、「歩行」と「スマホを見る」の同時動作を行うと、ほとんどの人の脳の関心がスマホに向かうという。歩行に必要な周囲の環境認識ができず、蛇行につながってしまうというわけだ。
歩きスマホ中の視野は、通常の歩行時のなんと約20分の1に狭まり、歩く速度も7割程度まで落ち込む。そのため、対象物に1.5メートルまで近づかなければ気づかないという。つまり、事故が起きるのはある意味当然ということになる。
以前紹介したが、自転車に乗りながらPokemon GOをしていて、高校生が他人を巻き込む事故を起こした例もある。自転車に乗りながらのスマホ利用も、さらに大きな危険性をはらんでいることになる。
Pokemon GO利用者を対象にしたエコンテの「Pokemon GOに関する調査」(2016年8月)によると、「歩きスマホをしたことがありますか」という質問に対して、全体の73.2%が「ある」と回答。10代の86.0%、20代の87.0%など、若い世代ほど歩きスマホ経験が多かった。
なお、歩きスマホをしている際に利用する機能は、「地図」が47.8%、「ゲーム」が43.5%ですべての世代で上位にランクイン。チャット(LINEなど)も36.2%と3位に続く。世代別で見ると、10~30代でLINEなどのチャットを利用している割合が多いようだ。さらに、Pokemon GOを利用する前と後で歩きスマホをする頻度はどう変化したのか尋ねたところ、8割以上が「増えた」と回答していた。
このように、ゲームやSNSに夢中になっていたり、地図や電車の時刻を調べながら歩くことによる歩きスマホが多いが、中には「歩いていると暇だからついやっちゃう」という高校生もいる。
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