リクルートテクノロジーズは、同社従業員539名に独自開発のビーコンを配布し、社内コミュニケーション活性化の効果についての実証実験を4~6月にわたって実施。8月23日に検証結果を発表した。
同社は、3年間で従業員が約3.6倍に増加したことから、社内のコミュニケーション活性化の一環として、同社研究開発機関のアドバンスドテクノロジーラボが開発したビーコン(GoogleのEddystoneを使用)とスマートフォンアプリを、すべての従業員に提供した。
ビーコンには、それぞれ身につけるユーザーのプロフィールや連絡先などが記録されており、スマートフォンから情報を読み出すことができる。初対面のメンバーや接点が薄いメンバーでも、相手の情報が分かるため、コミュニケーションが活性化できるとしていた。
実際に、ビーコンが社内コミュニケーション活性化に寄与したかを検証。従業員に対して事後アンケートを実施したところ、「社内コミュニケーションが円滑になったと感じたか?」との問いには、「円滑になった」と回答した人は全体の7%にとどまり、「円滑にならなかった」の54%を大幅に下回る結果となった。
「円滑にならなかった」と回答した理由について、「そもそも利用用途が限定的であり、知らないメンバーと会議すること自体が少なかった」「利用したとしても最初の1回のみとなってしまった」など、利用シーンの少なさに対する声が挙がった。
また、「知らない人がいても、勝手にスマートフォンで従業員情報を見るという行為が何となく後ろめたい」「あまり認識されたくない場面でビーコンの電源を切ると、通常時に電源を入れ忘れてしまう」など、社内といえども、個人情報を共有することに対する心理的な抵抗感もあったという。
最後に、「継続利用したいと思ったか?」との質問には、「利用したい」が21%、「利用したいとは思わない」が32%だった。利用したくないと回答した理由としては、「利用が必要となるシーンがなかった」など、利用シーンの少なさに関するコメントがみられた。
一方、「ぱっと名前が出てこない、組織が分からない時のお役立ちツールとして有効と感じた」「ひとつの会社に閉じたサービスよりは、オープンなプラットフォームとして利用したい」など、機能拡張を含め、サービスの活用や応用に期待する声も一定数あった。
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