東芝の2016年度第1四半期(2016年4~6月)の連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比1.9%減の1兆2074億円、営業利益は前年の65億円の赤字から200億円の黒字に転換。税引前利益は124億円の赤字から71億円の黒字に、当期純利益は前年の122億円の赤字から798億円の黒字となった。
代表執行役専務の平田政善氏は「2016年度第1四半期は、メモリの需要が強く売価下落傾向が鈍化。第1四半期の業績は予想を上回っている。売上高は、WEC(Westinghouse Electric Company)の建設子会社の新規連結化やハードディスクの販売台数が大きく伸びて増収とあった。だが、700億円にのぼる円高による影響、構造改革によるパソコンとテレビ事業の規模縮小が影響し、若干の減収となった」と説明した。
続けて平田氏は「昨年度の構造改革で固定費を大幅に減少したほか、賞与減額などの緊急対策の継続により、営業利益は黒字を計上した。当期純利益は、家庭電器事業の売却益として、839億円を含む非継続事業の利益を計上したことで大幅な改善が進んだ」とコメント。「円高の影響はあるが、構造改革の効果が顕在化してきたこと、賞与削減などの削減の緊急対策の成果も数字に結び付いていると認識している。メモリ事業の売価が想定していた以上で推移しており、第1四半期だけを捉えれば、業績は上振れている」と総括した。
一方で、株主資本は3361億円、株主資本比率は3月末の6.1%から7.0%と依然として低い水準あり、「円高の影響で株主総資産は微増にしかならなかった。株主資本比率は前年度末から若干改善するも、厳しい水準であると認識しており、引き続き重要課題である」との認識を示した。
セグメント別の業績では、エネルギーシステムソリューション以外のすべてのセグメントで減収となった。円高が影響しているという。
エネルギーシステムソリューションの売上高が17%増の3495億円、営業損益は56億円改善したもののマイナス18億円の赤字。原子力事業でWECの建設子会社(WECTEC)の新規連結で542億円の大幅に増収となったのに加えて、火力、水力ともに増収となった。
インフラシステムソリューションは売上高が3%減の2587億円、営業利益は130億円改善して23億円の黒字。公共インフラの改善とともに、各事業とも収益の改善が進んだ。
リテール&プリンティングソリューションの売上高は6%減の1225億円、営業利益は18億円増の18億円。同分野は東芝テックが中心となっており、プリンティング事業が為替の影響で減収になったものの、国内リテール事業の増収などが影響した。
ストレージ&デバイスソリューションの売上高は2%減の3716億円、営業利益は102億円減の241億円。ハードディスクが売上高で17%増の1033億円、営業利益が73億円増の47億円と黒字転換し、増収増益となったが、デバイスの事業撤退影響やメモリの減益が影響した。
平田氏は「メモリは円高が主因となり、前年同期に比べて減収減益となったが、メモリの売価水準が下げ止まり、期初想定をしていたレベルよりはいい。営業利益率は9%を達成している」と説明した。緊急対策の効果も出ているという。一方で、キャッシフローについては3次元メモリの投資が先行しており、291億円のマイナスなったという。
インダストリアルICTソリューションの売上高は3%減の487億円、営業利益は9億円増となったが9億円の赤字。前年同期の製造業向け大型案件の反動で減収となった
その他事業の売上高は34%減の1348億円、営業利益は161億円増だが60億円の赤字となった。パソコンを中心にした欧米向けBtoC事業の実質的な撤退やテレビ事業での海外ブランドライセンス化によって、売上高は縮小したが、損益は改善。「固定費の削減、不採算地域の事業を絞りこんだことが成果になっている」という。
PC事業は売上高が52%減の557億円。営業利益は73億円改善し、2億円の黒字に転換。欧州の構造改革費用が含まれているものの、第1四半期は国内向けが牽引、構造改革の成果も出ているとして黒字化したという。映像事業の売上高は42%減の155億円、営業利益は72億円改善したものの11億円の赤字となった。「今年度後半に黒字化に持っていくように施策を立てているところである」とした。
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