「Windows 10」のプライバシー保護に懸念--仏当局が改善を要求

Ed Bott (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2016年07月21日 13時06分

 フランスのデータ保護当局である情報処理及び自由に関する全国委員会(CNIL)は現地時間7月20日、Microsoftに対して正式に通告し、「ユーザーの同意なしに、過剰なデータを収集し、ユーザーのブラウジングを追跡するのを止める」よう命じた。

 CNILの通告は、4月~6月に実施した7件の調査と、Microsoft関係者との面談の結果に基づいている。これらの調査は、「Windows 10」がフランスのデータ保護法(French Data Protection Act)に沿ったものであることを確認するために行われた。

 CNILは通告の中で、Microsoftが以下の違反を犯していると指摘した。

  • 無関係または過剰なデータの収集:「遠隔測定サービスによって診断データと利用状況データを収集すること」は許容されるが、Windows 10の初期設定は度が過ぎているとCNILは判断した。「ユーザーによってシステムにダウンロードおよびインストールされた全アプリと各アプリの使用時間についての(中略)情報」を収集することは「やり過ぎ」だとした。
  • セキュリティの欠如:4桁のPINでPCのセキュリティを確保するオプションは安全ではなく、PINの入力試行回数の上限も設けられていない。
  • 個人の同意の欠如:今回の通告によると、Microsoftの広告IDによって、Windowsアプリやサードパーティーアプリがユーザーから適切な同意を得ることなく閲覧を監視したり、ターゲット広告を配信したりすることが可能になるという。
  • クッキー:CNILは、Microsoftが十分な同意を得ることなく、ユーザーの端末に広告用のクッキーを配置していると指摘している。
  • 欧州連合(EU)の外部へのデータ移転:CNILは、フランス国内のWindowsユーザーのデータが「セーフハーバー協定」に基づいて米国に転送されていると指摘し、この慣行は2015年10月の欧州司法裁判所による判決を受け、無効とされていたはずだと主張している。

 今回のCNILの通告では、「正式な通告は制裁ではなく、Microsoftが規定の期間内にデータ保護法に従う場合は、それ以上の措置が下されることはなく、その際は通告の手続きを終了し、その判断についても公示する予定だ」と強調している。

 通告ではMicrosoftに対し、3カ月以内に法令を順守するよう求めている。

 Microsoftのバイスプレジデントで副法律顧問のDavid Heiner氏は、電子メールで以下のようにコメントした。

 当社はWindows 10に強力なプライバシー保護機能を組み込んでおり、それらの保護機能をさらに高めるよう引き続き取り組む中でフィードバックを歓迎している。当社は今後数カ月間、CNILと密に協力してその懸念点を十分に理解し、承諾いただける解決策に向けて取り組んでいく。(抜粋)

 

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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