この3カ月は、とにかく市場の変化が激しくて、いきなり猛スピードで車が走っている高速道路に放り投げられた感じでした。以前はインターネットの広告業界にいて、そこに比べると時間の流れがゆっくりしているのかと思っていたのですが、とんでもなかったですね(笑)。
現在は、プレミアムGYAO!の戦略も含めて、様子を見ながら試行錯誤を繰り返しているところです。最近は勘所もつかめてきたので、2016年後半に向かってそろそろ思い切った展開を進めていきたいと思っています。
具体的には、プロダクトを良くすること、良いコンテンツをそろえることです。この2つは車の両輪だと思っているので、ようやく歯車が噛みあうタイミングが来たと感じています。プロダクトに関しては、UI、UXに加え、バックエンドの開発も含めて、開発の人員を大幅に強化しました。
コンテンツは、現在さまざまなジャンルを万遍なくそろえていますが、この先は強みを持っているジャンルによりフォーカスすることもありえます。今の人気コンテンツは、無料ではアニメ、音楽、有料では映画、海外ドラマあたりです。ここを強化していく考えも持っています。
また、地上波番組の見逃し配信も人気コンテンツの1つですが、東京キー局だけでなく、地方局のコンテンツも強化しています。その地域でしか見られなかったコンテンツですから、新しいタッチポイントとして利用していただけます。
オリジナルコンテンツに関しては、まさに議論している最中です。ここまでサービスの数が増えると、将来的にコンテンツの調達費用が高騰したり、一部事業者への独占配信になったりと、コンテンツの奪い合いになるリスクも考えなければならないでしょう。
そのときに「GYAO!でしか見られない」コンテンツを持っていることは強みになります。3月に実施したAKB48の高橋みなみさん卒業公演の独占生配信や、8月に開催されるケツメイシの15周年スペシャルライブのアーカイブ配信(9月配信予定)などの取り組みは、差別化という意味で、大きな役割を果たしています。
強みになりうるとは思いますが、それだけだと弱い。やはり、無料、都度課金、定額課金と3つの異なる料金体系を持っていること、無料と有料のハイブリッドなコンテンツ編成ができることが強みです。
もう1つはYahoo!JAPANが持つ「マルチビッグデータ」とGYAO!の視聴データを掛けあわせた、新たな付加価値の提案です。これは今後取り組んでいくプロジェクトになるのですが、Yahoo!JAPANは、毎日数千万人が訪れる日本最大級のポータルサイトです。このデータからは、視聴率の良かったドラマ、人気が出始めている俳優、一部で話題の映画など、コンテンツの制作、配信に欠かせない重要なキーワードが見えてきます。
それにGYAO!が持っている、人気コンテンツ、視聴時間帯、曜日の違いといった視聴データを掛け合わせることで、今までにないレコメンドやコンテンツ製作ができるはずです。
こうしたデータは、ユーザーだけに適用するのではなく、最終的にはコンテンツ製作会社や広告出稿先に提供することも考えています。そうした、ユーザーニーズを緻密に汲みとったコンテンツの配信、製作がGYAO!ならばできると信じています。
私は常々社内外にGYAO!のサービスを伸ばすには重要なものが3つあると話しています。1つがプロダクト。UI、UXを中心に使い勝手の良いクロスデバイス、マルチデバイスで使えるサービスを実現すること。
2つ目が当たり前ですがコンテンツ。見たいものがなければどんなに使い勝手がよくてもユーザーは来てくれませんから、見たいものに応えることはとても重要です。3つ目がYahoo! JAPANとの連携によるデータサイエンス力で、パーソナライズ、レコメンドを強化するとともにそれをコンテンツに生かすことです。
Yahoo!JAPANという“基点”があれば、新たなユーザーへのアプローチも可能になります。例えば、Yahoo!JAPANアプリのトップページ内にユーザーが好きそうな動画がタイムラインとして流れてくる。ユーザーはそこをクリックするだけで自動的にGYAO!に飛び、本編が見られる。こうした連動ができます。
意識してGYAO!アプリを立ち上げなくとも、毎日見ているYahoo!JAPANのページ内で動画を選び、視聴ができる。そうした世界を作りたいと思っています。
あります(笑)。やはりNetflixのオリジナルコンテンツにかける金額はすごいですよね。そこでしか見られないコンテンツがあるという意味でも大きな強みがある。ただ、GYAO!はより日本にフィットした形で、コンテンツを提供できる自信があります。勝ち筋は見いだせると思います。
まずは、毎日1000万人のユーザーに使っていただけるサービスを目指したいと思っています。
そのために、今やるべきことは有料、無料に限らず使ってくださるユーザーを増やすこと。ここに徹底的に注力していきます。そのためにもユーザーの満足度はあげていかなければいけませんし、「有料が始まったから無料サービスがつまらなくなった」などと思われてはなりません。無料でも楽しめるサービスであり続けることがGYAO!の使命です。
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