エム・データ主催によるカンファレンスイベント「新世紀テレビ大学」が11月30日に開催された。その中で、ゲオホールディングス、フジテレビジョン、GYAOの3社が「SVODの次に来るのは?」をテーマにパネルディスカッションを実施。前半は各サービスの紹介や現状分析などのプレゼンテーション、後半は3社によるパネルディスカッションで進められた。モデレータはジャーナリストの西田宗千佳氏が務めた。
ゲオホールディングスは、2016年2月に映像配信サービス「ゲオチャンネル」の開始を控えるVODの新規参入会社。フジテレビはテレビ局としてコンテンツを提供する一方、自らの配信サービス「FOD」を持つ。一方、GYAOは無料映像配信サービスとして大規模なプラットフォームを運営と、三者三様の形でVOD業界に関わっている。
ゲオホールディングスの代表取締役社長である遠藤結蔵氏はゲオチャンネルを、店頭レンタルもしくは宅配レンタルと映像配信を組み合わせたハイブリッド型サービスと位置づける。映像配信のプラットフォームは「dTV」を手がけるエイベックス通信放送が担い、ゲオが持つ店舗利用によるレンタル試聴履歴などの顧客データを掛け合わせることで、高機能のレコメンドシステムを構築することが狙いだ。
遠藤氏は「店頭の強みはタブレットやスマートフォンの画面以上の空間から作品を選べること。一方宅配は、配信にも店頭にもない作品が用意できるタイトルの多さが魅力。お客さまの使い勝手に応じてサービスを使い分けてほしい」と話す。
一方、9月にサービスを開始した「Netflix」とのコンテンツ提携が話題となったフジテレビジョン コンテンツ事業局長の山口真氏は「個人的には『テラスハウス』という若い人にシャープに刺さったコンテンツをNetflix上で公開することにより、ブランド力を高めることができたと思う」と感想を述べた。
フジテレビでは、ドラマなど過去のコンテンツを提供するとともにテラスハウス、「アンダーウェア」の2作品をNetflixと共同で製作。ただしその関係性については「それほど持続的なものではなくて、是々非々の姿勢」と見解を示す。
自らが提供する映像配信サービスFODは、CS放送「フジテレビNEXT」の同時再配信、24時間の報道チャンネル「ホウドウキョク」など積極的に拡大している。すでにサービス自体は黒字化しており、コミック配信など映像以外のコンテンツも取り扱う。「課題は視聴測定方法と属性の把握。視聴率でビジネスをしてきたテレビ局には不得意な分野に取り組んでいく」と今後についても明確だ。
前2社とは異なり、無料映像配信サービスを展開しているのがGYAOだ。現在約6万本のコンテンツをそろえ、テレビ、映画、ドラマ、音楽、バラエティ、スポーツと取り扱いジャンルは多彩。テレビ番組の見逃し配信も手掛ける。
代表取締役社長である宮本直人氏は「現在強化しているのはアプリ。ダウンロード数は2014年1月に比べ約2.1倍に伸びた」と現状を説明する。また、スマートフォンデバイスからの月間視聴者数は約3.2倍、テレビの見逃し配信視聴者数は約4.6倍にまで増加した。
ユーザーの視聴動向は、平日は12時前後のランチタイムと夜21~23時の夕食後から就寝前の2つのピークがあり、休日は21時以降、かなり深い時間まで伸びがあるという。宮本氏は「この視聴動向はここ3年くらいで顕著に表れてきたデータ。この傾向はさらに高まると思う。しかし日中に映像サービスに触れている方はまだ少なく、ここは今後伸びてくる部分。VOD市場の拡大によってもっと利用時間が増えると思っている」と分析する。
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