コンピュータを陰で支えるOSは、少なくともハードウェアそのものと同じくらい重要な存在だが、Apple製品の場合、特にそのことが当てはまる。同社はハードウェアとソフトウェアの両方を作っているからだ。
何年もの間、「MacBook」と「Mac」デスクトップには、Appleが「OS X」と呼ぶOSが搭載されてきた。今、その慣習が変わろうとしている。Appleは、Mac向けOSの名称を、「iOS」「watchOS」「tvOS」とより調和する、「macOS」に変更したのである。
2016年秋より、新たに発売されるMacには、macOSの最初のバージョン「Sierra」が搭載されるはずだ。macOS Sierraのパブリックベータ版リリースは、7月に予定されている。ひとまず、本記事では、現行の開発者向けビルド(一般には公開されていない)に含まれる新機能と、最終バージョンへの搭載が約束されている機能の一部を紹介する。
容量の確保は、常に頭を悩ませる問題だった。ストレージ容量が128Gバイトしかないノートブックを持っている場合は、特にそうだ。「Optimize Storage」を利用すれば、ボタンをクリックするだけで簡単に容量を節約することができる。この機能の種明かしをすると、Appleは「iCloud」と「iCloud Drive」を利用しているのである。ユーザーは視聴済みの「iTunes」コンテンツをクラウドで保管し、最近の電子メールの添付ファイルのみを物理ドライブに保存することができる。さらに、ゴミ箱に捨てられてから30日が経過したファイルは自動的に削除される。また、ハードドライブの容量を占拠しているファイルの包括的なリストを表示し、すぐにファイルを削除できる機能を提供する新しいインターフェースも備える。
これまでは、新しいウィンドウで動画を開いたら、デスクトップ上のウィンドウを配置し直す必要があったが、この煩わしい作業が不要になる。ピクチャインピクチャがmacOS Sierraに搭載され、「Safari」やiTunes、さらにHTML5動画を使用するウェブサイト内で利用可能になる。米CNETが実施したテストでは、ピクチャインピクチャはVimeoとESPNで非常に快適に動作した。ただし、この機能はすべてのウェブサイトで自動的に有効になるわけではない。Appleはウェブ開発者による実装が可能な開発者APIをリリースしているので、YouTubeやNetflix、Huluがそれを活用してくれることを期待しよう。
「iOS 10」で登場したMessagesの新機能のすべてがMacにも搭載される。「Digital Touch」やインビジブルインク、ステッカー、手書きメッセージをMacから送信することはできないが、iOS端末から送信されたそれらのメッセージを閲覧し、操作することが可能だ。しかし、Mac向けMessagesの最高の機能はリッチリンクだろう。リッチリンクには、メッセージ内で動画を再生したり、記事の冒頭部分を閲覧したりできる機能が含まれる。Tapbackを使えば、相手から送られてきたメッセージに簡単な色つきのコメントを付けることができる。
AppleはすべてのハードウェアにNFCを搭載するわけではない。その代わりに、「Shopify」など、Apple Payでの決済に対応しているウェブサイトでは一部の国において、iPhoneやApple Watchを使って、Macで取引が完了できるようになる。Apple WatchやiOS端末が近くにある場合、そのサイトはそれらの端末経由での認証を求める。
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