「DMM.comは何の会社なのか」を説明するのは難しい。10年以上にわたりアダルト動画の会社として知られていたが、3年ほど前から英会話や3Dプリント、格安スマホ、ロボット、クラウドファンディングなど、インターネット領域を中心とした“旬”な事業に次々と参入し、そのイメージをガラリと変えた。また、2014年には、モノづくりとハードウェアスタートアップを支援する施設「DMM.make AKIBA」を、東京・秋葉原に開設して話題になった。
いまでは、企業価値が10億ドル以上で非上場の、いわゆる“ユニコーン企業”の1社と言われるまでに成長したDMM.com。そんな同社を一代で築き上げた取締役会長の亀山敬司氏とは、どのような人物なのか。新領域に挑み続ける「事業」、“亀チョク”などのユニークな制度を採用する「組織」、そして謎に包まれた「日常」を深掘りすることで、同氏の素顔に迫る。(全3回)。
第1回は、多角化を続ける「事業」について。実は、亀山氏はもともと露天商から創業した根っからの商売人だ。そんな同氏が語る“商売論”とは――。
今まではあまり出たくなかったんだけどね、まわりが出ろ出ろっていうからさ。やっぱり、うちはアダルトもやってるから、まわりから見ると怖い人なんじゃないかとか、下手したらヤクザとか思われてるのよ。そうなるとさ、会社としてもみんなやりにくいみたいで、これからいろんなことをやっていく中で、俺だってちゃんと考えてるんだってことも言っとかなきゃダメかなみたいな感じかな。なので宣伝してるの。
会社が有名になるのはいいし、「いろんなことをやってますよ、ちゃんとしてますよ」ってことはアピールしたいんだけど、あまり出てもろくなことないしね。ゆっくり飲めないし、1人で旅もしたいし、そこで誘拐されたくないしね(笑)。有名人は嫌なんだよね、静かに暮らしたいから。別に、ちやほやされたかったら名乗ればいいわけだから。
あれはね、「毎日かあさん」とか書いてる西原(西原理恵子氏)が友達で、ちょっと書いてよってお願いして、そのままタダで使わせてもらってる。ギャラはカニでね。スタンプも作ってもらってて、「かめっち会長」ってLINEスタンプだから、みんな買ってね(笑)。
もともと、昔からプールバーやったり、ビデオレンタル店やったり、とにかくいろんなことをやってたんだよ。その中で、たまたまアダルトが大きく当たっちゃったから、その印象が強いんだ。だから、別にアダルトに何のこだわりもないし、人生かける気もないんだよ。生き残るためなら何でもやろうみたいな感じで始めたから、昔から多角化というか何でもやってたね。
特に基準はないね。みんなが「これはどうですか」って(アイデアを)持ってくるから、その中で、将来的に伸びそうなものを中心にやってるかな。最近だとVRと組み合わせた水族館をやろうって話をしてるね。クジラはVRで表現して、本物のクラゲと混ぜたようなものを作ろうと話してるよ。それをパッケージにして世界に売り込もうと思ってるかな。
ここ最近はないね、5年くらい前までは結構自分で考えてたけどね。この年になると、あんまり新しいことについていけないんだよね。だから、みんなが持ってきたアイデアに「いいんじゃない、やってみようか」と言ってる。ただ、投資家というか、お金を出すだけは好きじゃないんだよね。やっぱり(各事業の)経営にも関わるのが面白いかな。
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