本の読み方に関する本はたくさんあるため、少しでも速く本が読めるようになりたいという欲求や、少しでもたくさん本を読めるようになりたいと思う気持ちなどに合わせて読めば、本を読むモチベーションが上がる。そのような「気持ち」を軸にして考えると、本書は、「読んだ本を生かして成長できる自分になりたい」と考える人にお勧めだ。
著者は、小さい頃から本を読むのが好きだった上、東大を出てから大企業に就職し、海外の大学院を修了した上にマッキンゼーでも活躍している。本をたくさん読んでいても当然と言えるような経歴で、超人ではないかとも思われるが、実際には、試行錯誤して自分に合った読み方を工夫し、本から得たことを自分の行動に落とし込み、実践したり発信したりして、少しずつ行動してきた結果今に至る。そうして本書にまとめられた読書法の集大成には、超人でなくとも真似できる方法がいろいろある。
ただ、本書はビジネス書の体裁を取っており、ビジネスに生かすための読書法を伝えているのは確かだが、実のところ、著者の「読書ってこんなに楽しくて面白い、ということを伝えたい」という読書愛にあふれている。素晴らしい本に出会った時の興奮が伝わってくるからだ。だからこそ、「なかなか本が読めない」「本を読んでも読みっぱなしになってしまう」という人のモチベーションを上げてくれるはずだ。
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