さて、ソニー「Xperia X」よ、あなたのレビューを始めるとしよう。あなたはなんとも難しい製品だ。確かに、2月の発表時に初めて見たときよりは好きになった。その主な理由は、片手での操作がとてもしやすいという隠れた特長だ。最近では、片手で使えるほどコンパクトでバランスの取れたスマートフォンが少なくなっている。手の小さい人にとってはなおさらだろう。
だが、あなたはそれを実現している。大きなハンドバッグや社員証、スーパーの買い物袋、ティーカップを持っているときでも、バスの手すりにつかまっているときでも、本当に便利だ。あなたは側面が直線的なので握りやすく、反応の速い指紋リーダーが右側面の電源ボタンに内蔵されているため、驚くほど簡単に後ろのポケットから取り出して、ニュースを読んだり通知に対応したりすることができ、5インチスクリーンを使うのにぎこちなく手を伸ばす必要はない。わたしの親指は指紋リーダー/電源ボタンより大きいので、親指を当てる位置に気を遣わなくても、スクリーンのロックを解除できる。指紋リーダーの精度は高い。
その一方で、Xperia Xよ、指紋リーダーのせいであなたを人に薦めするのがためらわれる。指紋リーダーはグローバルモデルでは問題なく機能するにもかかわらず、米国市場では全く機能しないからだ。ソニーは指紋リーダーを意図的に無効化している。「Xperia Z5」や「Xperia Z5 Compact」など、一部のXperiaシリーズのときと同じだ(「ソニーモバイルは現時点では米国モデルに指紋センサを搭載しないことを決定した」)。米国を除外したのは愚かなことだと思う。そのせいで、1つの巨大市場のユーザーが指紋でロックを解除できず、「Android Pay」やAmazonアプリ、バンキングアプリなどで手軽に決済を認証することができない。
あなたが米国で機能を出し惜しみしたせいで、あなたを米国のユーザーにはお薦めできない。ソニーのウェブサイトから直接購入するか、AmazonやBest Buy、B&Hなどの小売店から購入すると、T-MobileとAT&Tで4G LTEの通信速度を利用できる。しかし、指紋リーダーが利用できないため、Googleの「Nexus 6P」を差し置いてあなたを推すことはできない。Nexus 6Pは素早く反応する指紋リーダーを備えているうえ、あなたより50ドル安く、2016年秋にリリース予定の「Android N」といったAndroidソフトウェアアップデートも真っ先に入手できる。
しかし、米国以外のモデルについては、比較的安価な「Android 6.0 Marshmallow」搭載機の選択肢として気に入っている。処理速度では、米国で米国時間7月17日に発売される同サイズの「Xperia X Performance」に及ばないだろう。もちろんXperia X Performanceのような防水機能もないが、価格ははるかに安い。
それでも、HTCの「HTC One A9」よりは高価だ(カメラの性能はあなたが上だが)。また、大型スクリーンが好きな人なら、あなたよりも5.7インチのNexus 6Pの方が断然いい。厳しいことを言って申し訳ないが、本当のことだ。ZTEから新たに発表された「Axon 7」も期待できそうだ。ベースモデルのストレージ容量があなたより大きく(64Gバイト対32Gバイト)、カメラスペックは同等(必ずしもパフォーマンスが上回っているという意味ではない)だが、価格はこちらの方が安い。
したがって、片手で持ちやすく、サイズやカメラも秀逸だが、もっと安価なスマートフォンとの熾烈な競争にさらされている。
敬具
Jessica
さて、言いたかったことを言ってすっきりしたが、まだXperia Xのカメラ、バッテリ持続時間、ハードウェアスペックについて話したいことがある。このレビュー記事とスペックは、Xperia Xの32Gバイトモデルに関するものであることにも注意してほしい。ソニーはデュアルSIMに対応する64Gバイトモデルも発売する予定だが、価格は発表されていない。
Xperia Xで撮影した画像は、ミッドレンジスマートフォンとしては本当に素晴らしい。Xperia X Performanceと同じ23メガピクセルのカメラがこの下位モデルにも搭載されていることについては、ソニーを評価したい。写真はカラフルでディテールも豊かだが、露出過度になることもある。暗所で撮影した画像は、(人工的に明るくされたものであっても)サムスンの「Galaxy S7」の方が満足のいく画質だ。背面レンズの画像解像度がデフォルトで8メガピクセルに設定されているのは気に入らない。スペースの節約が目的だが、解像度を上げたければ、手動で解像度を切り替える必要がある。ピントが合うのは速いが、処理に数秒かかる。
単体のカメラの分野で専門知識を持つソニーは、フィルフラッシュやマニュアルモードといったクールなオプションを自社のスマートフォンに搭載している。肌を柔らかく見せる補正やソフトフォーカスが自動的に有効になることも多く、素晴らしい効果を発揮することもあるが、もう少し現実的な写真を撮りたいとき、無効化するのに手間がかかることもある。
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