スマートフォンネイティブが見ている世界

ネット彼氏ができるわけ--共感求め暴走する若者の告白願望

 10代の若者たちは何を目的にSNSでつながっているかご存じだろうか。1つは、これまで何度も取り上げてきたように「承認欲求」がある。もう1つは「共感・理解」だ。

 DNPの「10代SNS利用者のネットコミュニケーション調査」(2012年)によると、ネット友達とのやりとりに対して、10代は20代以上に比べて「共感してほしい」「知ってほしい」「盛り上がる」「深く理解してほしい」「本音が言える」などの割合が高かった。特に「共感してほしい」「知ってほしい」は30%弱あり、割合が高かった。

 一方、20~40代は「知りたい情報を教えてほしい」「新しいことを知ることができる」「書き込んだりつぶやいたりできればよい」「何でもいいから何か反応したり、突っ込んでほしい」という回答が10代より高かった。10代はネットの知り合いに対して共感や理解を求める一方、20代以上は情報や知識を得たい傾向が強いという違いがあるのだ。

 10代のSNSを使う目的は、暴走すると問題を引き起こすこともある。この問題について見ていきたい。

自分を知ってほしい10代

 大人の場合、Facebookなどの実名性が高いSNSでは職業や所属などを書くことが多い。Twitterでも、職業やつぶやきの内容などを書いているパターンが多く見られる。大人にとって職業や所属が大きな意味を持っており、それによってある程度自分のことが説明できるからだ。

 一方の10代は、年齢や学年、居住地だけでなく、好きなものについて書く傾向にある。Twitterのプロフィールなどでも「○小→×中→△高校」などと自分の所属の変遷を詳細に掲載したり、趣味や好きなタレント、アーティスト、番組、スポーツ、漫画、アニメ、将来の夢などを列挙している例が目立つ。年齢や学年だけでは自分のことが何も説明できないため、好きなものを列挙しているというわけだ。

 大人世代はSNSで情報や知識を得たいと考えるため、ニュースアカウントや著名人などをフォローしている例が多い。一方、10代は趣味・関心などが同じで共感が得られる人とつながりたい意識が強く、自分の趣味などで検索して新たなつながりを広げていくというわけだ。

 実際、大人世代はTwitterでは情報をシェアしているが、10代は共感を求めて本音や悩みなどをツイートする割合が高くなる。すると、誰かに何かをされた人はお返しがしたくなるという「返報性の心理」が働き、本音を告白された側も告白したくなり、さらに“親しく”なっていく。リアルの場では言えないことも、SNSでなら簡単に告白してしまい、ネットの友達が大切になっていく。10代にネット上の恋人や親友がいることがあるのはこのためだ。

 10代はまだ何者でもないため、理解してほしい、認めてほしいという気持ちがとても強い。それゆえ、SNSに何でも書き込み、書き込みに対する反応を強く求めるというわけだ。10代のその気持ちが暴走する時、さまざまな問題が起きる。

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