KDDIは5月12日、2015年度(2015年4月~2016年3月)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比4.6%増の4兆4661億3500万円、営業利益は同25.2%増の8333億5800万円、純利益は同24.9%増の4944億6500万円。営業利益は3期連続の2桁成長となった。
2015年度の総販売台数は938万台だったが、2016年度は890万台と予測。“実質0円”販売の禁止など、2015年後半から始まった総務省のタスクフォースの影響を受け、2016年度はスマートフォンの販売台数は減少するものと見ている。また、格安SIMなどを提供し、競争が激化しているMVNO領域への対策も必要になると、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は語る。
「タスクフォースによって純増は半分くらいになり、3キャリア間の移動がなくなっていく。その代わりに、今後は顧客がMVNOに出ていくが、いまはMVNOの9割近くがドコモの回線を使っている。その領域でも誰が回線を卸しているんだというところで、一定のシェアをとらないといけない。UQさん頑張ってという感じ(笑)」(田中氏)。
同社では2013~2015年度の3年間の中期目標として、「持続的な利益成長」と「株主還元の強化」を掲げていた。田中氏は、マルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースの3つの頭文字からなる「3M戦略」を推進したことで、営業利益が毎期2桁成長を達成。株主還元についても、株価は3年間で2倍以上となり、配当性向は30%を超えたと胸を張った。
また、月額372円でアプリ取り放題やクーポンなどの特典が受けられる「auスマートパス」の会員数は、3月末時点で1447万会員。固定通信サービスとのセット割である「auスマートバリュー」は、モバイルが1155万契約、固定通信が572万世帯へと増加した。
同日には、今後の3年間の中期目標も発表された。まず、事業運営方針については、これまでのように通信サービスやスマートフォン端末による差別化が難しいことから、より顧客の視点に立った「体験」を提供していきたいと田中氏は話す。
その上で、事業戦略として、(1)タブレットやIoT領域の強化などによる「国内通信事業の持続的な成長」、(2)食品や電気、生命保険などライフステージに応じたサービスをオンラインと店舗で同時に展開する「au経済圏の最大化」、(3)ミャンマーの通信事業やTELEHOUSEのデータセンターといった「グローバル事業の積極展開」を進めるとした。
これらの施策によって2018年度末には、営業利益で年平均成長率7%を、au経済圏の流通総額で2兆円を目指す。また、非通信領域の企業を中心としたM&Aを、3年間に累計5000億円規模で実施する予定であることも明らかにした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」