ソフトバンクグループは5月10日、2015年度(2015年4月~2016年3月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7.6%増の9兆1535億4900万円、営業利益は同8.8%増の9994億8800万円、純利益は同29.1%減の4741億7200万円となった。前年は上場したグループ会社のAlibabaの一時益を含んでいたことから純利益はマイナスとなった。
苦戦が続いていた、米国の通信子会社Sprintの反転に向けた戦略として、孫氏が掲げていた「純増の改善」「OPEX(固定費)削減」「多様な調達手段」「ネットワーク改善」などの項目の進捗についても語られた。
マイナスが続いていた純増(ポストペイド)は125万の増加となり、前年と比べて約150万の改善となった。ポストペイド携帯電話の純増は2.2万で、88万のT-Mobileには遠く及ばないが、マイナス0.8万のVerizonや、マイナス45万のAT&Tは逆転したと説明。解約率も2014年度の2.09%から2015年度は1.61%へと大きく改善したとした。
2015年度の売上高は284億ドルで前年と横ばいだが、コストは前年の192億ドルから179億ドルへと13億ドル削減。過去9年赤字が続いていた営業利益も、3億ドルの黒字へと転じた。EBITDA(減価償却前の営業利益)は、2015年度は前年比で21億ドル増の81億ドルとなったが、2016年度はさらに20億ドル追加となる95〜100億ドルを目指す。
また、孫氏が寝る間も惜しんで改善に力を注いできたネットワークの最新状況も説明。ニールセンの調査によると、米国においてLTEダウンロード実効速度で、Sprintが4社中トップになったと胸を張った。
「Sprintの改善に相当な時間を割いている。ネットワークもかなり改善し、オペレーションコストもだいぶ削減した。1000項目のコスト削減プロジェクトも1つずつ着実に進めている。次の1年でも着実に改善していけると自信が出た」(孫氏)。
さらに、海外の投資事業の状況も語られた。中国のECサービスである「Alibaba(アリババ)」は、取扱高が60兆円となり初めてウォールマートを抜いた。売上高も前年比33%増の2兆円と好調だ。そのほか、インドのEC「Snapdeal(スナップディール)」や、中国のタクシー配車アプリ「滴滴打車(ディディダーチャ)」など、同社がこれまで投資してきた多くの企業が、この1年で大きな成長を遂げていると強調した。
同日には、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICJ)が、タックスヘイブン(租税回避地)を利用していた企業の情報を記録した「パナマ文書」を公開した。その中には、ソフトバンクのグループ会社の名前も含まれていた。孫氏は、2社のグループ会社が該当することを認めたが、節税対策については否定した。
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