オランダ第2の“ユニコーン”になるか--フードデリバリーサービス「Takeaway.com」 - (page 2)

最初から世界を目指す環境が成長を後押し

 同サービスを創業したのは、GRIB B.V.(B.V.とは非公開株式会社のこと)のJitse Groen氏。会社自体は老舗で、1999年に50ユーロで創業したという。元々はウェブデザインやマーケティング業の会社を営んでいたが、あるとき地元レストランのメニューをウェブで検索したが、見つからなかったことがきっかけでサービスを開発しようと考えた。

 実はオランダの食文化は、フランスやイタリアを始めとする欧州各国と比べると、そこまで魅力的とは言えない(オランダ在住の筆者としてはそこまでひどいと感じたことはないが、正直うなるほど美味いものに出会ったことはない…)。

 しかし、そんなオランダで食に関するカテゴリでユニコーンと呼ばれるほど市場で評価されるサービスが生まれたことは非常に興味深い。しかも、同国は日本の九州ほどのサイズの小国で、人口はたった1700万人しかいないにもかかわらずだ。

 逆説的ではあるが、Takeaway.comのようなスタートアップが生まれたのは、むしろ小国だったからと言えそうだ。繰り返しになるが、同国は人口が少なく、マーケットも大きくない。そして、このことをオランダ人も自覚している。つまり、オランダのスタートアップやイノベーティブな企業は、初めから世界標準で考え、海外市場をターゲットとしているのだ。

 同国ではオランダ語が標準語であるものの、90%以上の国民が英語を話せると言われているほど語学が堪能であり、かつ欧州各国と地続きでつながっている。このことが地場企業の海外展開を後押ししている。国策としても、スタートアップの海外進出が奨励されている。こうした小国でありながら成長を遂げるオランダの姿は、筆者が以前滞在したことのあるシンガポールと重なる部分がある。

 Takeaway.comは欧州において、イギリスの「Just Eat」、ドイツの「Delivery Hero」と三つ巴で争っている。同社は頭一つ抜け出そうと、遠く離れた巨大市場、中国の開拓を進めているようだ。Uber、AirBnBと並び食の市場で世界を席巻する日が訪れるかもしれない。

(編集協力:岡徳之)

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